2004年12月01日(水) 16時31分
おれおれ詐欺で3人起訴 アジトなし、別行動−−面識避け匿名性高く /神奈川(毎日新聞)
◇口座調達、ニセ電話
おれおれ詐欺を繰り返したヤミ金業者ら5人が逮捕された事件で、横浜地検は30日、千葉県松戸市六高台1、無職、飯田一義容疑者(20)ら3容疑者を詐欺罪で起訴した。飯田被告らはアジトを作らず、車内から携帯電話で連絡したり、バイク便で現金を輸送したりするなど匿名性を高め、実行犯2人と口座を調達したグループは互いに面識もなかったことが県警捜査2課と海老名署の調べで分かった。【伊藤直孝】
調べでは、電話で「警察官」「息子」などの役割を演じていた実行犯は飯田被告と金子記之容疑者(27)の2人。橋本悠一被告(20)が元同僚だった須崎寛幸被告(32)を知人の飯田被告に紹介し、実行犯と口座調達グループの接点が生じた。
口座は一度犯罪に使われると凍結されるため、詐欺を繰り返すには多数調達する必要がある。ヤミ金を営む須崎被告は顧客に「返済の足しにする」と持ちかけ口座を開設させ、1万円で買い取り、飯田被告に約4万5000円で転売していた。須崎被告は口座料とは別に詐取金の1割を成功報酬として受け取っていた。須崎被告は口座番号と名義人を電話で伝え、実行犯の飯田被告とは直接顔を合わせなかった。
現金引き渡しも須崎被告がバイク便で飯田被告に送るなど、つながりの跡を残さないよう活動していた。だが今年9月22日、須崎被告が凍結口座を解約しようとして、名義人の顧客女性を海老名市内の銀行支店に行かせたため、一連の犯行が発覚した。県警はこのグループによる被害額は1300万円に上るとみている。
おれおれ詐欺は今年1〜10月末までに県内で988件発生しているが、組織的な犯行グループの検挙は2件のみ。インターネット上で繰り返される口座や携帯電話の転売が個人特定を妨げ、捜査を困難にしている。
個人間の口座売買を禁じる改正本人確認法は11月25日に衆院を通過しており、捜査幹部は「口座と携帯電話がセットで規制されれば、詐欺集団にダメージを与えられる」と期待を込める。
12月1日朝刊
(毎日新聞) - 12月1日16時31分更新
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