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UFJ銀行が昨年の金融庁検査を妨害したとされる事件で、東京地検特捜部は1日、銀行法違反(検査忌避)容疑で元副頭取の岡崎和美容疑者(56)ら同行の元役員3人を逮捕した。日本を代表するメガバンクを舞台に約80人の行員が関与したとされる組織的な検査妨害事件は、当時の首脳級幹部の刑事責任追及に発展した。
他に逮捕されたのは、問題のある大口融資先を主に受け持つ同行審査第5部の担当だった元常務執行役員・早川潜容疑者(55)と、同部の部長だった元執行役員・稲葉誠之容疑者(51)。特捜部は今後、当時の経営トップだった寺西正司・元頭取(57)についても参考人として聴取し、関与の有無について慎重に調べる方針だ。
調べによると、同行は昨年の金融庁の検査前、(1)融資先の経営がより悪化していることを示す資料を執務室以外の部屋に隠した(2)融資先の財務関連資料を改ざんした(3)経営陣の会議の議事録から大口融資先の財務状況に懸念を示す部分を削除した——などの行為により、検査を妨害したとされる。
特捜部は、改ざんされた経営陣の会議の議事録や融資先の財務関連資料に元副頭取の承認印が押されていたことなどから、これらの妨害行為は元副頭取の指示の下で実行されたとみている。
元副頭取は特捜部の任意の事情聴取に対し、「余計なものは除いておくように」と包括的な指示は認めたうえで、細かな指示をしたり、具体的な報告を受けたりしたことは否定しているという。
一方、早川元常務執行役員は「回覧印の必要な資料は元副頭取に報告し、指示を受けた」などと供述しているとされる。
金融庁は10月7日、早川元常務執行役員、稲葉元執行役員、同部の元次長(41)の3人と法人としてのUFJ銀行を告発した。告発を受けた特捜部は同行東京本部のほか、告発されていない岡崎元副頭取の自宅も捜索していた。元次長については、関与は従属的だったという見方を強めている。
問題が指摘された後、同行は当初、検査妨害の意図を否定していた。しかし、7月下旬にはこれを認めて謝罪。すでに辞任していた岡崎元副頭取ら元役員3人を、いずれも役員退職慰労金が支払われない解任とした。
金融庁の検査で同行は、多額の不良債権処理費用の積み増しを余儀なくされた。単独での生き残りは困難と判断し、三菱東京フィナンシャル・グループと経営統合することで合意している。
(12/01 15:07)