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全国の大手私鉄で初めて、グループ共通のポイントサービスを始めたのは京王電鉄(二〇〇二年十月)。今年はさらに小田急電鉄(四月)、東武鉄道(九月)、京浜急行電鉄(十一月)の三社が追随した。東京急行電鉄も〇六年度の導入を検討中だ。
「沿線(に住んでもらう)価値を高めるために始めたら、大きな支持をいただいた」と話すのは、京王電鉄でグループカードを担当する伊藤俊司さん(43)。カードの会員数は当初の五十五万人から、今年八月で七十七万人へと大幅に増えた。
同社のポイントカードは、ポイント専用とクレジットの二種類。グループの百貨店やスーパー、ホテルの利用だけでなく、不動産取引(現金)や、電車・バスの定期券購入(クレジット)も対象だ。提携先の銀行に遺言信託を申し込んでもポイントが付く。
伊藤さんは、ポイントの共通化について「沿線に住みたいという人を増やしたい」と話す。
これに対し、「京王さんが(グループカードを)スタートして一年以上たっていたので、なるべく早く始めたいと考えていた」と話すのは、小田急カードの上田晃功さん(36)。京王とは新宿で競合している。
同社もポイント専用とクレジットの二種類を発行。百貨店やスーパー、電車の定期券(クレジット)などを対象にするほか、保育園の利用や、提携先の医療機関で受けた人間ドックにもポイントを付与する。
ポイントを共通化する狙いについて、上田さんは「特に新宿地区(で展開する店舗)の活性化を考えた」と説明。「スーパーでは一ポイントから利用が可能。家族カードを作ってもらうと、家族でポイントを合算できる」と、使いやすさも強調する。
一方、東武はポイント専用カードを発行せず、クレジットカード一本で勝負する。グループカードを始めた九、十月の二カ月間で、前年同期比二・五倍の三万一千人を新たに獲得。百貨店、スーパー、ゴルフ場、カルチャースクールの利用などに共通ポイントが付く。
東武カードサービスの島崎和典さん(35)は「ポイント専用カードだと、ダイレクトメールが(転居先不明などで)戻ってくる率が高い。そういうコストをかけるよりは、顧客組織のしっかりしたクレジット会員を対象にした」と打ち明ける。
今月からグループカードを始めた京急は、ポイント専用カードを先行発行。クレジットカードは来年四月から始める。グループの百貨店や主要駅のショッピングセンターでポイントサービスを実施。順次、ホテルやレジャー施設、自動車学校などに広げる方針だ。
カード担当の宮崎敬さん(33)は「古いシステムの更新時期だったので、ポイントを共通化した。お客さんはポイントのためやすさと、使いやすさを求めている。そんなカードを追求し、優良顧客を囲い込みたい」と語る。
鉄道会社の中には、ポイントサービスの対象をさらに広げ、沿線の商店街や企業と連携する動きもある。さらに、関東の鉄道・バス業界では、パスネットとバス共通カードを統合したICカードの導入を〇六年度に予定。統合カードは、JR東日本のICカード「スイカ」とも相互利用できる見通しだ。このため、自社のポイントカードと統合カードの連携を視野に入れる私鉄もある。
“ゆりかごから墓場まで”を競う各社のポイントサービスは、単なる顧客の「囲い込み」から、沿線で何でも買うことができる“地域通貨”へと変容を始めつつある。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/thatu/20041130/mng_____thatu___000.shtml