2004年11月30日(火) 00時00分
知的障害者や痴呆性高齢者狙った悪徳商法(朝日新聞・)
知的障害者や痴呆(ち・ほう)性高齢者らを狙い、高額な商品を売りつける悪徳商法が県内で急増している。金銭感覚が不十分な弱みにつけこむ手口で、判断ができないまま契約を結び、無条件解約ができるクーリング・オフ制度も知らされないケースが目立つ。繰り返し被害に遭いながら、その自覚がなく、家族に相談しない被害者もいるとみられ、被害の潜在化が懸念されている。
県立神戸生活創造センターによると、県内18カ所の相談窓口に寄せられた知的障害者や精神障害者、痴呆性高齢者に絡む被害相談件数は、01年345件、02年443件、03年577件と急激に増えた。「高額な商品を買わされた」と認識している被害者は少なく、家族や福祉・介護サービス事業の関係者が相談してくるケースが多いという。
神戸市内の知的障害者の男性(28)は昨年6月、女性から電話で「芸能人や野球選手が集まるパーティーに来ないか」と誘われた。会場に行くと宝石を見せられ、「将来の役に立つ」と言われてダイヤのネックレスのクレジット契約書(約65万円)に署名。販売員に連れ回され、役所で住民票の写しをもらった後、郵便局で振り込み用の貯金通帳を作らされていた。
男性は5ケタ以上の数字が理解できず、同センターが「通帳作成に連れ回すなど強引な販売方法」と販売業者に指摘。業者側は「知的障害とは知らなかった」などと反論したが、本人に高額契約の認識がないことや知的障害者の証明書を提示して交渉した結果、無条件解約となった。
西宮市の一人暮らしの女性(88)は最近、スーパーからの帰り道も分からなくなるほど物忘れがひどくなった。神戸に住む息子が自宅を訪ねた際、白アリ消毒や屋根瓦工事などの代金として計約130万円を支払った契約書を発見。母親に問いただしたが、契約したことすら覚えていなかったという。
女性はわずか2週間で同じ業者と3件の契約を交わしていた。契約書には、8日間は無条件で契約解除ができるクーリング・オフについての記載がなかったため、同センターが業者に検討を求めたところ、解約に応じたという。
国民生活センター(東京都)の調べでは、全国の生活相談センターなどに寄せられた同様の被害相談件数は昨年、1万1699件にのぼり、00年(5120件)の倍以上になった。アクセサリーや布団、健康食品、浄水器などを買わされるケースが多い。
県立神戸生活創造センター生活科学部の本多三洋子課長は「被害に遭ったという自覚が本人にないので、周囲が日頃から注意を払っておく必要がある。不審な点があれば、消費生活相談窓口に気軽に相談してほしい」と話す。
(11/30)
http://mytown.asahi.com/hyogo/news02.asp?kiji=9819
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