2004年11月30日(火) 16時15分
おれおれ詐欺 県内の被害総額、年内に3億円突破確実−−昨年の3.7倍 /茨城(毎日新聞)
◇1件あたりの額、倍増
県内での「おれおれ詐欺」の被害総額は、今年10月までの県警のまとめで2億9234万円。年内には3億円を突破する勢いで増えている。最近では、警察官や弁護士を装い、家族に事故の示談金を請求する手法が目立つ。冷静な判断ができない状況を巧みにつくり、1件の被害額も高額になるなど悪質化する手口に県警では注意を呼びかけている。【藤田裕伸】
◇未然防止も2億円超−−金融機関で
県警に今年1〜10月に届け出があった被害は263件。このうち、実際に被害者が現金を振り込んだのは158件で、昨年の2倍弱だ。被害総額はすでに昨年1年間(7849万円)の約3・7倍に達しており、1件あたりの被害額も昨年の平均約92万円から、約185万円と倍増。だが、県警捜査2課は「被害届を出さず、発覚しない被害も多い」とみている。
被害者の年齢層は50歳代が最も多く72件、40歳代の53件、70歳代の51件と続く。女性が約7割を占めており、昼間自宅にいることが多い主婦層が狙われやすい。現金を振り込ませる「口実」別では、交通事故の示談金が142件と半数以上で、借金返済(67件)、妊娠中絶(40件)の順。本人、警察官、弁護士などが次々電話に出て、「早く示談金を払わないと、ご主人が逮捕される」などと判断をせかし、被害者を巧みにだます例が増えているという。
金融機関が食い止めたケースも被害額並みに増加している。常陽銀行では今年1〜9月に66件の被害を防止、総額では9200万円に上るという。関東つくば銀行と茨城銀行でもそれぞれ約1500万円、県内の郵便局では4〜9月で33件、5259万円を食い止めた。一部の金融機関だけで、すでに2億円を超えている。常陽銀行によると、おれおれ詐欺にだまされて振り込みに来る客は「非常に慌てており、『詐欺では?』と声をかけても興奮していて話にならない」傾向がみられるという。
実行犯が不正に入手した携帯電話や架空の預金口座などを利用するため、摘発が困難なのが現状だ。県警捜査2課は「とにかく被害に遭わないことが重要」として、頭で理解していても、だまされることがあるため▽トラブルが起きたら、まず家族など誰かに連絡する▽警察官や弁護士が、示談のあっせんや仲介をすることはない▽示談の場合も、すぐにお金が必要ではない——ことに注意し、落ち着いて行動するよう呼びかけている。
11月30日朝刊
(毎日新聞) - 11月30日16時15分更新
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