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■ランドセル商戦の目玉、GPSを体験
試したのは、ランドセルメーカー協和と警備会社セコムが共同開発した「オリビエナビランド」。GPSを使った位置検索サービス「ココセコム」の発信器をランドセルの横に取り付けている。発信器は名刺サイズで約五十グラムと軽く、取り外しが可能。フル充電で十日間使える。
携帯電話を禁じている学校は多いため、位置検索機能だけを付けた。
位置を特定する精度は「カーナビの十倍。最高の電波状態で誤差は五−十メートル」(セコム)。ただし、電波状況が悪いと「誤差は数百メートル」や「検索できない」こともある。検索はパソコンのほか、インターネット接続機能付き携帯電話でもできる。
実は奈良の事件前、私の娘が自宅近くでいなくなる出来事があった。辺りは真っ暗。大声で名前を叫んで捜し続けた。約三十分後に友達の自宅近くで見つかったが、あの時「GPSがあれば」とどれだけ思ったことか。
さて、実験開始。娘にランドセルを背負わせ、携帯電話を持って外へ。一緒に通学路や入学予定の小学校、駅前などを歩きながら携帯電話で位置を見てみると−。
上空が開けた住宅街や公園ではほぼ誤差なしで位置が確認できた。ところが、高いビルに囲まれた駅前では、北口にいるのに南口を示し、電波の届きにくいビルの中や地下では探知しにくい。川沿いの歩道を歩くと、土手から十メートル離れた水中にいることになっていた。
このGPSを「使えない」とみるか、「ないより安心」とみるか。
帰宅しない娘の身を案じている時に「検索不可」だったら心配が高じて嫌だし、それを言いだせば、携帯だって地下などでは通じない。誤差ありでもやはり大まかな位置が分かれば安心だ…。
◇
奈良の事件では、GPS付き携帯電話で女児の身を守ることはできず、ハイテク機器の限界も露呈した。それでも事件以降、セコムにはGPS付きランドセルの使い方や精度などについて一日約二百件の問い合わせが続き、保護者の関心の高さがうかがえる。
実験で気になったのが発信器の取り付け場所。ランドセルの横ではなく、隠しておいたほうが安全なのでは?
仮に、子どもの現在地が通学路や遊び場からそれた遠い場所だった場合、「何かあった」ことを察知できる。それが連れ去りで、発信器が捨てられてしまえば役に立たないが、発信器が身に着いていれば犯人を追跡することもできる。
取り付け場所は開発段階で議論が分かれたという。「外から見えたら犯人に外されてしまう」と懸念するセコムに対し、最終的に協和の「見せることでの抑止力」が採用された。だが、私のお勧めは「防犯ブザーは見える所に、GPSは見えない所に」だ。
そして持たせるかどうかを考える前に、見知らぬ人には付いていかない、出かける先は必ず告げる、などを子どもに教え込むことが先決と痛感した。
セコムと協和の広報担当も「子どもの安全を考えてランドセルも進化してきたが、使うのは子ども。親は子どもと一緒に通学路を歩いて危険場所をチェックし、うまく活用してほしい」と話す。
まずGPSありきではなく、人への教育を伴ってこそハイテク技術はより威力を増すのだろう。
■最大250メートルまで拡大
ココセコムで子どもの位置をパソコンの画面などで知るには、会員番号と暗証番号を入力し、所在地の町名と地図を呼びだす。地図は最大250メートルから最小200キロまで拡大・縮小でき、中央にある印で位置が分かる仕組み。
利用するには、ランドセル本体とシステム加入料金など3万3000円、ほかに月額525円と、位置検索料が1回100円(月2回まで無料)かかる。サービスは来年4月から開始する。
ココセコムはもともと徘徊(はいかい)するお年寄り向けに開発された。車・オートバイ向けにも用いられ、契約数は約22万件。徘徊場所に警備員が急行するサービスでは約2000件の保護実績がある。
同様のランドセルは他社でも販売。DDIポケットの位置検索機能付きPHS「安心だフォン」をセットにした、ヴァーゴウェーブ社の「ランドセルフォン」(利用料別で3万5000円から)など。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20041130/ftu_____kur_____000.shtml