2004年11月28日(日) 00時00分
架空請求に新手口 裁判所の威光拝借 仙台(河北新報)
携帯電話の使ってもいないサイトの情報料などの支払いを迫る架空請求で、東京地裁が出廷を命じているように見せ掛ける手口が仙台市で出始めた。実在しない団体名で請求する従来型と違い、現実に存在する裁判所の名を出し、請求をもっともらしく見せようとしている。
仙台市の70代の無職女性宅に今月、「司法処分出廷要請最終通達書」と題するはがきが届いた。30代の息子が「電子消費者料金」を支払わず、「電子消費者契約民法特例法」に基づき、「電子消費契約管理センター」から訴訟を起こされたとし、指定日に「東京地裁第六十三民事執行センター第六法廷」に出廷するよう指示している。
一方で「前日までに連絡し支払いに応じるのなら訴訟を取り下げる」と受け取れる一文も記載。出廷を避けたい心理を突き、支払いを促している。だが、女性側は「身に覚えがない」と無視し、被害に遭わずに済んだ。
架空請求はこれまで「法務省認可特殊法人」など架空の団体名で支払いを迫っていたが、今回は実在の司法機関をかたる手口。女性も「裁判所の通知は無視してはいけないと思った」と話し、請求を本物らしく見せる「効果」を上げている。
東京地裁名の架空請求は関東を中心に全国に広がり、仙台市でも今月、2件のはがきの送付が確認された。地裁は10月末、ホームページに注意文を載せ、「民事部は五十部までしかなく、第六法廷も存在しない」と注意を促している。
◎「関東管財局」にも要注意 東北6県に250通
「法務省認可法人関東管財局」という実在しない団体名で「電子消費料金」の支払いを迫るはがきを送り付ける架空請求が東北に広がっているとして、東北財務局が注意を呼び掛けている。
はがきには「貴殿の利用した電子消費料金が未納で、民法特例法に基づき、給与を差し押さえる」と脅す文面が記され、指定の電話番号に連絡するよう求めている。
財務局によると、はがきは今月上旬、6県に一斉に送られた。確認できただけでも250通に上るという。
財務局は「公的機関からの請求と誤認させ、確認のために電話すると強引に現金の振り込みを迫る手口。相手にせず、各県の消費生活センターなどに相談してほしい」と話している。
http://www.kahoku.co.jp/news/2004/11/20041129t73008.htm