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楓ちゃんは十七日午後二時ごろ、市立富雄北小から一人で帰宅途中、男に車で連れ去られたとみられる。両親は楓ちゃんに、居場所を特定できる衛星利用測位システム機能(GPS)付きの携帯電話を持たせていた。だが結果的に、ハイテク機器が命を守れなかったことも、子どもを持つ保護者らには二重のショックだった。
遠距離や人通りの少ない通学路を歩く子どもはどう自衛したらいいのか。
安全生活アドバイザーの佐伯幸子さんは「とっさの判断がつくように親子で模擬訓練を繰り返して」と訴える。
「高度技術を駆使した防犯機器もスイッチを切り、体から離れてしまえば効果はない。効果的な使い方も含めて訓練を」
連れ去りでは、犯人は善人ふうの言葉と顔で近づいてくることも多い。「道を聞かれたら」「ゲームをあげると言われたら」など、子どもが断り切れないような複数の誘い方を想定して行動を話し合ってほしいという。
訓練は実際に通学路を歩いて行う。その際、「〜しなさい」と説教調ではなく「こういう場合、どうする?」と子どもに判断させるのが大切。
自分で考えさせた上で、何かあれば店や家に逃げ込むことや、家などがない場所では防犯ブザーをいつでも鳴らせる用意をすることなどを導きだせばよいという。
佐伯さんは「子どもが一人でいる時間をゼロにはできない。予期しない衝撃には動けなくなってしまうが、想定して練習しておけば違う」と助言する。
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地域防犯にくわしい立正大学の小宮信夫助教授も「子ども自身の自衛能力を高めてほしい」と語る。
防犯教室を開く学校も増えたが、まだきちんとした指導は広がっておらず、犯人が目の前に来た際の護身術が中心。だが「護身術より先に危険な状況に身を置かないことを、教えてほしい」。
まず一人歩きしないことが原則。また、親や学校の関心は不審者に向きがちだが、注意すべきなのはむしろ場所。人の目が少なく、犯人が逃げやすい場所が危ない。子どもがそのような場所を見極めて慎重に行動できるようにするために、考えながら地域を歩く「安全マップ」を作らせることを勧める。
楓ちゃんの小学校も安全マップを作成していたが、大人の目で作って与えても子どもは危険を実感しにくいという。小宮助教授は「相手も犯行が成立しやすい場所を探している。子どもたちが作った安全マップを基に学校や行政が連携し、街の死角をなくしていくことが必要」と話す。
警察庁が十七日まとめた「平成十七年における街頭犯罪・侵入犯罪抑止総合対策の基本方針」によると、今年一月から九月までに街頭から連れ去る略取誘拐事件は全国で百五十件発生した。前年同期に比べて三十四件多く、29・3%増と大幅に増加した。
被害の大半が未成年者で、百十九件と八割を占めた。このうち最も多かったのが小学生の五十二件の34・9%で、下校時などを狙ったとみられる犯行が多くなっている。次いで高校生の二十九件、中学生は十三件だった。
屋内などを含む略取誘拐事件全体でも発生は二百九件と、前年同期より二割増えた。警察が検挙したのは百九十六件、百三十八人と十九件、三十二人増えている。
一方、街頭で女性や児童らが体を触られたりする強制わいせつ事件は一割減の三千五百五十五件。未成年者の被害は六割に上り、うち高校生九百七十二件、小学生四百五十二件、中学生三百十四件の順。
街頭での強姦(ごうかん)事件も一割余り減り四百三十八件。被害者は未成年が半数を超え、うち高校生が百三十四件と三割だった。
こうした事態を受け、警察庁は略取誘拐の抑止を来年の重点目標に掲げた。具体的には、(1)不審な子どもへの声掛けや付きまといが起きたら、保護者や地域住民、学校関係者と連携を図り(2)防犯教室の開催や避難方法の訓練などで子どもの防犯意識を高め(3)捜査員を集中投入して摘発活動を強化する−方針。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20041128/ftu_____kur_____000.shtml