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■偽装請負
東海地方に住むA子さんは派遣の形で「OA機器操作」の業務に八年間たずさわってきた。突然、派遣先から「社員にならないか」と声を掛けられたため、あらためて派遣元との雇用契約書を見てみると「業務請負」とあり、実際は派遣ではないことを知った。
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「これは、いわゆる偽装請負です」と相談を受けた名古屋ふれあいユニオン(名古屋市)の浅野文秀さんは説明する。
偽装請負とは、契約上は「請負」として、請負側が業務を一括して受注する形をとりながら、実際は労働者を送り込むだけの“派遣”状態−というやり方。派遣契約ではないのに、労働者は“派遣先”から指揮や命令を受けており、労働者派遣法などに違反する。
正規の派遣の場合は、派遣元、派遣先ともに労働衛生法上の責任があるが、偽装請負では“派遣元”のみが負う形になる。その結果「“派遣先”の安全管理がずさんな場合が多く、労災事故にもつながりやすい」と浅野さんは指摘する。
偽装請負を回避するためには「派遣の契約をする際、契約書などの内容を確認することが大切」とアドバイスする。
しかし、書類上のどこを見れば雇用形態が分かるのだろうか。「派遣の場合、『派遣先責任者』や『派遣元責任者』が書いてあります。偽装請負は『就業場所』とだけ書いてある場合が多いです」と浅野さん。
ただし、偽装請負は書面の提出がなく口約束だけの場合もある。労働者派遣法では、派遣会社は
事前に働く条件を書面で提示する義務があるので、ない場合は必ず要求して業務内容や派遣期間などを確認したい。
■労働時間
東京都内の企業で、商品紹介やアンケートなどを電話で行う「テレホンアポインター」のパートをしているB子さん。平均週五−六日で二十時間以上働いている。
「ノルマがきつく、休憩時間がない」のが悩み。勤務中はリスト上の電話番号にひたすら掛け続けなければならない。「働く条件を示すものが手元にないので、確認のためにほしいのですが…」
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下町ユニオン(東京)の加瀬純二さんは「昼休みなどの休憩時間は労働基準法で定められています」と話す。一日八時間を超える労働の場合は六十分、六時間以上なら四十五分との休憩時間が必要だ。
B子さんは一日約四時間なので、法律上は休憩時間がいらない。しかし、加瀬さんは「実際は休憩時間を設けている会社もあるので、就業規則を確認してみたほうがいいですね」という。
雇用者は、賃金・労働時間などの労働条件を、パートタイム労働者にも明示する義務がある。しかも口頭ではなく、必ず書面によることが求められている。「もらえない場合ははっきり請求しましょう」と加瀬さん。
常時十人以上の労働者を雇用する事業所では、就業規則を作ることが義務づけられているため、こちらも目を通そう。
■契約外の業務
愛知県内のC男さんは高齢者の通所施設「デイサービス」に派遣され、送迎バスの運転手として六年間働いてきた。
送迎は基本的に朝、夕の二回しかないため、空いている時間はバスの点検や掃除をしていた。しかし最近、派遣先から「時間が空いている時はデイサービスの仕事を手伝ってほしい」と言われた。事故でもあったら責任は取れないと思い、断ったところ「できないならやめて」と言われた。
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C男さんは仕事内容を運転手として契約しており、「他の仕事を理由に解雇されるのは不当」と浅野さんは話す。派遣先は契約した範囲内の業務のみ指示できる。
こうしたケースでは「契約業務以外はできない」と伝えて断るしかないようだ。しかし「伝えたらクビになるのでは」などと悩みをなかなか言い出せない時は、派遣会社に相談して派遣先に申し入れてもらおう。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20041125/ftu_____kur_____000.shtml