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2004年11月25日(木) 11時49分

「民事で訂正放送要求できず」 離婚番組訴訟で最高裁朝日新聞

 別れた夫の一方的な言い分に基づいて離婚の経緯を放送されたとして、埼玉県内の女性(58)がNHKに、放送法に基づく訂正放送などを求めた訴訟の上告審で、最高裁第一小法廷(才口千晴裁判長)は25日、二審・東京高裁判決のうちNHKに訂正放送を命じた部分を破棄、女性の訴えを棄却する判決を言い渡した。同小法廷は「放送法の規定は、表現の自由の確保の観点から放送事業者が自律的に訂正放送を行うことを義務として定めたものだ」と述べ、この規定によって個々の被害者が民事裁判で訂正放送を求めることはできないとの初判断を示した。

 放送法4条は「真実でないことが放送されて権利が侵害された」との請求があった場合、放送局は調査し、事実を確認すれば訂正、取り消しの放送をしなければならないと定めている。

 一審は女性側の請求を棄却したが、二審は「不十分な取材で女性の名誉を傷つけており、放送法に基づき訂正放送を請求できる」との判断を示し、指定した文章を元の番組と同じ時間帯に2回読み上げるよう命じた。

 同小法廷は放送法4条の規定について「放送の自律性の保障の理念を踏まえた上で、真実性の保障の理念を具体化するためのものだ」と指摘。さらに「真実でないことが放送された場合、他の干渉を排除することによる表現の自由の確保の観点から、自律的に訂正放送を行うことを国民全体に対する公法上の義務として定めたものだ」と述べた。

 また、同法が被害者側からの請求を規定している点については、放送事業者が調査、訂正放送をするための端緒という位置づけにとどまるとの判断を示した。

 一方、同小法廷は、二審判決が名誉棄損とプライバシー侵害を認めて130万円の支払いを命じた部分については上告を受理しておらず、申し立てを退けた。

(11/25 11:49)

http://www.asahi.com/national/update/1125/016.html