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大学病院が医療事故を起こすと、約7割の事例で外部委員を加えた調査委員会が組織されているものの、原因などをまとめた報告書の公表は半数程度にとどまっていることが、02、03年度の事故を対象とする朝日新聞社のアンケートで分かった。重大事故については発生を自ら公表する医療機関が増えてきたが、結果を他施設での再発防止に生かしてもらう姿勢はまだ不十分なようだ。
事故の検証には被害者側への説明責任を果たすとともに、同種事故の再発を防ぐ目的がある。
正確を期すには当事者の記憶が薄れないうちになるべく早く調査を始める必要があるが、初会合が事故の発生(把握)から1年4カ月後という調査委もあった。回答があった調査委設置38件のうち、初会合が10日以内だったのは半数の19件にとどまり、8件が「11〜20日後」、7件が「21〜60日後」、4件が「61日以上後」だった。
調査報告書がすでにまとまった36件のうち、公表済み・公表予定は要約版も含めて19件(53%)にとどまった。
公表理由は「同種事故の再発防止・他院への警鐘」(東北大、大阪大)▽「透明性の確保」(秋田大、和歌山県立医大、島根大)▽「医療への信頼喪失を避けるため」(名古屋大)など。
一方、未公表の病院は「プライバシー保護」(東京大、滋賀医大、鳥取大)▽「家族・遺族の希望」(北海道大、自治医大、鹿児島大)▽「公表しないことを前提に関係者から事情聴取した」(三重大)などを理由に挙げた。
調査の透明性や客観性を確保するため、27(71%)の調査委は外部有識者を委員に加えていた。ただ、うち14件は外部委員比率が30%未満。また弁護士やジャーナリスト、NPO(非営利組織)関係者らを委員に迎えた委員会もあったが、ほとんどは医師などの医療専門職だった。
調査委員長は病院長15件、副病院長13件で、外部委員が委員長を務めたケースは3件あった。
調査委の設置・運営で苦労した点としては「調査の時間を確保するのが難しい」(68%)、「適切な外部委員を見つけにくい」(39%)などの回答が目立った。
調査委の開催回数は平均5.6回。初会合から報告書作成までの期間は「60日以内」が12件、「61〜120日」が10件、「121〜180日」が7件、「181日以上」が7件だった。
(11/24 03:01)