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2004年11月24日(水) 17時38分

中部管区警察局、情報公開請求者漏らす 関係者処分へ朝日新聞

 中部管区警察局に職員として出向していた愛知県警幹部の当時の出張状況などについて情報公開を求めるため、朝日新聞記者が情報公開法に基づいて該当文書の確認をした際、同警察局の担当職員がこの幹部に請求者名や内容について漏らしていたことが分かった。内容を知った県警幹部は、請求者側に、請求の趣旨や請求者名を探ったり詰問したりするなどの行為を繰り返した。同警察局は、国家公務員法の守秘義務違反にあたるとして担当職員を、県警は不適切な行為があったとしてこの幹部を、それぞれ処分する。

 朝日新聞記者は5月下旬、県警幹部が同警察局出向中の01〜02年度の出張旅費や行き先、出張目的などを記した公文書公開を請求するため、同局の情報公開室を訪ねた。請求に先立ち、公開できる公文書が存在するかを確認するために、請求内容や記者名などを担当職員が控えた。

 その翌日、この県警幹部は別の知り合いの朝日記者を県警本部内の部屋に呼び、自らを公開対象にしたことについて詰問。「名指しで請求するとはどういうことだ」などと、しばらくの間、机をたたいて声を荒らげるなどした。この時点ですでに、県警幹部は請求内容や請求した記者について把握していた。

 数日後の6月3日、朝日新聞は請求を終えた。同警察局のこれまでの説明によると、事前に請求の相談があった段階で同警察局職員が取ったメモの内容が別の職員に伝わり、そこから県警幹部に漏れたという。

 県警幹部はその後も、知り合いの朝日記者の携帯電話に公開請求について再三、尋ねた。

 記者が抗議すると、幹部は「こちらから聞き出したわけではない。しかし、名指しで請求されたので、請求者を知る権利がある」と話した。

 本来、請求者名は黒塗りにされるなど、部外に漏れないように義務づけられているが、同警察局は文書を保管する課に対し、相談段階で請求内容だけでなく、請求者名などの個人情報を報告するシステムだったという。

 全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士によると、請求前に相談と称して請求内容を確認するのは警察組織だけだという。新海弁護士は「情報公開制度がスタートした時から、相談段階で情報が漏れると懸念していたが、的中した。請求者名が組織内に出回っていたことも、構造的な問題といわざるを得ない」と話している。

 情報公開請求の漏洩(ろうえい)をめぐっては、02年に防衛庁が情報公開請求者の個人情報リストを庁内のコンピューターネットワーク(LAN)に掲示していた問題があった。愛知県内でも、01年に中日新聞記者が名古屋市発注の地下鉄工事の元請けと下請け業者が交わした工事委託契約書の公開請求をした際、市職員が公開請求書のコピーを業者に手渡した問題が表面化。県警が市職員を地方公務員法違反(守秘義務違反)の疑いで名古屋地検に書類送検した。

(11/24 17:38)

http://www.asahi.com/national/update/1124/025.html