2004年11月19日(金) 00時00分
偽造カード詐欺グループ「警戒避け東北へ」(朝日新聞・)
偽造クレジットカードで商品をだまし取ったとして、宮城県警は、マレーシア国籍の無職リー・ナム・トン容疑者(33)=東京都新宿区=を支払用カード電磁的記録情報保管などの容疑で、会社員伊藤伸二容疑者(43)=豊島区=ら5人を詐欺などの疑いで逮捕したと18日発表した。
調べでは、リー容疑者らは7月、豊島区の伊藤容疑者方で、他人のカード情報百数十件を「ハンディスキマー」と呼ばれる読みとり機械に保管。これをもとにしたとみられる偽造カードを使って仙台市内のデパートでショルダーバッグなど約50万円相当をだまし取った疑い。
県警によると、一部の容疑者は「数年前から首都圏で活動していたが、警戒が厳しくなったので東北に進出した」と供述。商品の一部は首都圏に転売していたという。
「チェック甘い」 偽造クレジットカードを使って仙台市内で商品をだまし取ったとして、県警に摘発された首都圏のグループは、8月に泉署などに逮捕された中国籍で無職何毓(カ・ユイン)被告(35)=詐欺罪などで起訴=のグループに続き、今年に入って二例目。全国的に同種の犯罪が減少傾向にあるなか、両グループとも、警戒が厳しくなった首都圏を避けて東北に移ったと供述しているという。(京谷奈帆子、千葉卓朗)
今回、逮捕されたグループは東京都内のアパートを密造拠点とし、偽造クレジットカードで商品をだまし取ったとされる。マレーシア国籍で無職リー・ナム・トン容疑者(33)が支払用カード電磁的記録情報保管などの容疑で、会社員伊藤伸二(43)ら5容疑者が詐欺などの疑いで逮捕された。
県警は7月14日、伊藤容疑者ら2人を仙台市内で偽造カードを所持していた疑いで逮捕し、捜査を進めていた。
県警などの調べでは、リー容疑者のグループは、7月中旬ごろに仙台市中心部のデパートなどでバッグなどの高級品を購入。一方、何被告のグループは2月中旬ごろに仙台に入り、幹線沿いの大型店を次々と訪ね、十数万円相当の家電製品などを買ったという。
両グループともレンタカーを使い、何被告らが乗り捨てた車からは、大型店に印を付けた地図が発見されている。
両グループとも、都内の拠点で偽造カードを密造していた疑いがある点でも共通。買った商品は首都圏の業者に転売し、利益を得ていたという。
東北地方を狙った理由について、一部の容疑者は「東北はカードで買い物をする際の本人確認などチェックが甘かった」と供述しているという。
元日本銀行員でカード犯罪に詳しい末藤高義さん(75)は「東北は堅実な気質のためか、クレジットカードの発行枚数や利用率が低く、加盟店の犯罪に対する意識が低い。信用を照会する端末機の普及も遅れている」と指摘。カード情報を盗む面でも「利用頻度が低い方がカードの利用残額も大きく、狙われやすいのではないか」と話す。
県警は両グループの拠点から、全部で1千件以上のカード情報が入った計8台のカード情報の読み取り機を押収した。リー容疑者が所有していた読み取り機からは、主に静岡県内在住者のカード情報が、何被告の読み取り機からは、多くの県内在住者の情報が含まれていたという。
県警は今後、カード情報の入手先となった可能性がある仙台市内のホテルや飲食店などを捜索し、事件の全容解明を進める方針だ。
(11/19)
http://mytown.asahi.com/miyagi/news02.asp?kiji=6005
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