2004年11月18日(木) 20時25分
マンション値下げめぐる訴訟、旧住都公団の敗訴確定(読売新聞)
旧住宅・都市整備公団(現都市再生機構)のマンションを優先分譲で購入した千葉県柏市と横浜市の41世帯58人が、「不当に高い価格で買わされた」として公団に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷は18日、総額約6700万円(1世帯当たり150万円)の慰謝料を支払うよう命じた1、2審判決を支持し、公団の上告を棄却した。これで公団側の敗訴が確定した。
島田仁郎裁判長は「公団は、販売価格が高すぎて一般公募では買い手がつかないと認識していながら、そのことを説明せず、原告から購入について検討する機会を奪った」と述べ、1、2審と同様、公団側の説明義務違反を認定した。
訴えていたのは、「グリーンタウン光ヶ丘」(柏市)と「サンヴァリエ日吉」(横浜市)の住民。
判決によると、原告らは以前、両団地の賃貸住宅に住んでいたが、公団が1994—95年の建て替え工事の際、新築した分譲マンションに優先入居できると説明したため、約3300万—6100万円で購入した。しかし、公団はその後の約3年間、一般公募を行わず、98年になって販売価格を2—3割低く設定して公募を始めたため、原告らが値下げ分の賠償と慰謝料を求めて提訴した。
1審・東京地裁、2審・東京高裁判決は、値下げ分の賠償請求について「公募価格を優先販売時より低く設定してはならないという義務はない」と退けたが、説明義務違反を認めたため、公団側が上告していた。
公団の値下げ販売を巡る集団訴訟は全国で4件起こされ、今回が初の最高裁判決。残る3件は原告側が1、2審で敗訴(2件は確定)し、東京、神奈川など1都4県の約1200人が原告となった訴訟の上告審が続いている。
判決後に会見した原告の1人、中島佳久さん(49)は「公団が必要な説明をしなかったうえ、控訴、上告して解決を長引かせた姿勢には納得がいかない」と語った。一方、都市再生機構は「説明不足の点についてだけ主張が認められなかったのは残念だが、慰謝料支払いなどには誠実に対応したい」などとするコメントを出した。
(読売新聞) - 11月18日20時25分更新
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