2004年11月16日(火) 15時06分
<五菱会ヤミ金融>被害者82人 梶山被告に損害賠償提訴(毎日新聞)
指定暴力団山口組五菱会(二代目美尾組に改称)によるヤミ金融事件で、暴力的な取り立てを受けたとする被害者82人が16日、「ヤミ金の帝王」と呼ばれた同会の梶山進被告(55)=出資法違反罪などで起訴=に対し、計約1億1000万円の損害賠償を求めて東京地裁へ提訴した。原告側は「被害回復と同時に、巨額の違法収益が暴力団の資金となって返還されるのを防ぎたい」と提訴の理由を説明している。集団提訴は初めて。
訴状によると、原告はいずれも、五菱会傘下の各業者による違法な取り立てに対する財産的、精神的被害を訴え、各業者に指示・命令する組織を統括していたとされる梶山被告に賠償を求めている。
警察の協力を得て五菱会傘下の各業者の特定や告発を進めてきた「ヤミ金融対策弁護団」によると、同会は最盛期で27グループ、1000店舗以上で構成され、年間約1000億円の収益を上げて梶山被告らに上納させるシステムとなっていた。今回の提訴は、このうち違法な取り立て実態を特定できた53店舗を対象にした。
五菱会の違法収益をめぐっては、東京都内の貸金庫に隠されていた200万米ドル(約2億1000万円)を含む計約4億円が国内で警察に押収されている。海外では、スイスの国際金融機関「クレディ・スイス(CS)」に開設された梶山被告名義の約51億円がスイス当局に没収されたほか、シンガポールにもCS香港を通じて不正送金されていたことが判明し、送金額は数十億円規模にのぼるとみられる。
こうした海外送金分は放置すると同会側に戻ってしまう恐れがあるため、法務・検察当局が対応を検討している。【坂本高志】
(毎日新聞) - 11月16日15時6分更新
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