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「一年目から黒字は可能」。高崎競馬への参入を表明した堀江社長は十日、群馬県庁で小寺弘之知事と会談した後、こう言い切った。堀江社長自身も馬主だった同競馬再建への思いは強い。
ライブドアの計画では、主催者の群馬県競馬組合から馬券販売を受託し、インターネットを利用して全国向けの販売網を構築する。高崎のほか、高知や笠松などの地方競馬の販売事務も一括して請け負うことで収益増を図りたいという。
堀江社長は「ネット販売で人口カバー率が何十倍にもなる。競馬場でしか分からなかった馬の情報やレースの映像を配信すれば、ファンの新規開拓も見込める」と黒字化の根拠を説明。スター馬や有名騎手を呼ぶなど、売り上げ増に直結する魅力的なレース作りにも取り組むという。
高崎競馬は一九二三年に創立され、県と同県高崎市がつくる「県競馬組合」が運営している。九二年度から十二年連続で赤字を記録、累積赤字は昨年度末で約五十一億円に上る。小寺知事は九月二十八日、年内限りでの廃止を表明した。
同社の参入計画を支援する高崎競馬の厩務(きゅうむ)員男性(50)は「廃止で失職したら、この年で仕事なんかない。競馬を何とか続けたい。堀江社長もビジネスチャンスとみて参入表明したのだから、実現の可能性はあるはずだ」と期待を寄せる。
しかし、同社が具体的な損益試算を提示しなかったため、小寺知事は「(計画に)ウルトラCはなく、廃止撤回には至らない」と慎重な姿勢。県幹部も「ネットで売り上げがどれだけ増えるのか疑問」と否定的だ。安定した、第三者に不正利用されないシステムを短期間に構築できるかどうかも課題として挙がる。
地方競馬では売り上げのほぼ75%が払戻金で、残りが主催者に入る。高崎競馬の赤字は年間約七億円。収支を均衡させるには約三十億円の売り上げ増が必要となる計算で、県幹部は「現実的でない」と言う。
地方競馬の惨状は高崎だけに限らない。地方競馬全国協会などによると、現在、全国で十八団体あるが、昨年度、黒字だったのは「ハルウララ」で人気の出た高知競馬など四競馬にすぎない。
収入の大半を占める馬券売り上げが大幅に減少し、奨励費や経費の削減でも追いつかず、過去の利益を積み立てた基金を食いつぶし、多額の累積赤字を抱え込む構図はほぼ全国共通だ。
民間参入は「焼け石に水」という意見がある一方、ライブドアとの業務提携に合意した高知競馬や、参入を打診している岩手競馬のように積極的な自治体もある。
高知県競馬組合の前田英博管理者(57)は「われわれ公務員は、旧態依然とした方法しか思いつかない。若く発想力のある企業が名乗りを上げているのに、使わない手はない」と話し、近く同社と正式に契約を結ぶ。
民間参入を生き残りのチャンスとすることができるのか。「震源地」となった高崎競馬に残された時間は少ない。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20041115/mng_____kakushin000.shtml