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【ネット上で融資】
ソフトバンク・ファイナンスは消費者金融会社「イコール・クレジット」を設立、すでに貸金業登録を済ませ、17日から営業を開始する。
ネット系だけに、店頭や無人契約機などはなく、融資手続きは申し込みから審査結果の確認、融資実行、返済などをほぼすべての業務をネット上で行うのが特徴だ。
ただ、本人へのなりすましなどのトラブルを防ぐため、利用者の本人確認に必要な書類や契約書などは別途郵送するという。
融資金利は審査結果に応じ、年8.0%−29.2%となり、一人当たりの融資上限額は300万円。同社は3年以内に、融資残高500億円を目指す。
貸付資金はドイツ証券と提携して調達。貸出債権を証券化し、同証券を通じて投資家に販売するという機動的で低コストの資金調達を行う。
業界関係者は「ソフトバンクはホークス買収で知名度が一気に高まり、大衆的なブランドを手に入れる。ネットでの融資ということもあって、ブランドから得る安心感から、若者層を中心に相当、顧客を持っていかれる」と、強敵の出現に警戒を強めている。
【乱立市場】
平成14年の消費者金融市場の規模は24兆4656億円(日本クレジット産業協会調べ)。幅広い層に顧客が広がり、比較的高い利ざやが稼げるとあって、市場は右肩あがりに拡大している。
金融アナリストは消費者金融ビジネスの現状について「消費者金融は国内の金融分野では数少ない成長市場。武富士、アイフルなどの独立系に加え、アコムなどの銀行系、GEコンシューマーなどの外資系がシェア獲得にしのぎを削っている」と説明する。
実際、今年に入って三菱東京がアコム、三井住友がプロミスを傘下に収めるなど大手銀行グループが相次いで総合金融業として本格参入し「ゴールドマン・サックスなどの外資系金融機関も武富士の買収を検討したこともあった」(同)という。
海外勢を含めた大資本が成長市場への参入チャンスを虎視眈々と狙っているのだ。
【孫氏の野望】
こうした市場に、ネットを武器にしたソフトバンクが参入することになり、同業他社は「強力なライバルの出現」と事業戦略の強化を迫られそうだ。
ソフトバンクはかねてから金融ビジネスを事業の大きな柱の一つに据えてきた。このため、ソフトバンクの孫社長は、野村証券から北尾代表を引き抜き、ソフトバンク・ファイナンスのトップに据え、事業戦略を練ってきた。
同社は傘下で上場しているソフトバンク・インベストメント(SBI)を中核に証券、保険、住宅ローン、リースといった金融事業に投資しており、SBIの16年9月中間期の経常利益は前年同期比5.5倍の約100億円となり、業績は回復している。
市場関係者は「ソフトバンクグループはネット上のワンストップショッピングを構築しようとしている」と話す
ソフトバンク本体のM&A(企業の合併・買収)の勢いは衰えを知らず、今年5月に約3400億円で日本テレコムを、10月には英通信大手の日本法人を買収した。今後、最低数千億円が必要とされる携帯電話への参入も表明している。
さらに、産業再生機構は反発を強めているが、ソフトバンクは興業権を含め200億円規模でダイエーホークスを掌中にしようとしている。
【不透明な今後】
こうした投資先行型ビジネスで、ソフトバンクの16年9月中間連結決算は、ブロードバンド(高速大容量データ通信)事業に参入した13年9月以来初めて、連結営業損益が9月単月で黒字に転換した。
市場規模約25兆円の消費者金融ビジネスは、ソフトバンクの本業にしている通信事業と並ぶ巨大市場となる。
ただ、消費者金融は独特の市場だけに、前出のアナリストは「消費者金融は一筋縄ではいかない商売だ。顧客確保から貸し付けた金の回収など長年のノウハウの蓄積が不可欠。経験が事業の成否を分ける。孫氏の思惑通りに行くかは不透明」と指摘する。
このため、ソフトバンクは将来、消費者金融専門会社との業務提携も視野に入れ、事業をスタートさせたもようだ。買収王、孫社長が率いるグループだけに、消費者金融市場も今後、一波乱がありそうだ。
ZAKZAK 2004/11/15