2004年11月13日(土) 03時04分
三菱自、ハブ強度のニセ比較データを国交省に提出(読売新聞)
三菱製大型車の車軸部品「前輪ハブ」の欠陥を巡って、三菱自動車(商用車部門は三菱ふそうトラック・バスに分社)が2002年1月に横浜市で起きた母子死傷事故の直後、リコール(回収、無償交換)を回避するために、ライバル3社のハブの強度を偽った比較データを国土交通省に出していたことが、12日わかった。
他社のハブについて、年式の古いものを使ったり、寸法や材質を改ざんしたりしていた。同省は手口が悪質だとして、データ提出の経緯などについて、再調査に乗り出した。
三菱製大型車のハブ欠陥を巡っては、国交省に対し、強度について虚偽の報告を行ったとして、当時の役員ら3人と法人としての三菱自が、道路運送車両法違反の罪に問われ、横浜簡裁で公判が行われている。
今回新たに発覚した虚偽の比較データは、三菱側が、横浜市で破断事故を起こした同社の「D型」ハブと、同時期の日野、いすゞ、日産ディーゼル3社のハブの寸法や材質を列記し、強度を比べた資料。
三菱側は強度試験の結果、日野製ハブだけは、Dハブより20%強度が高いとしたが、日産デ製は7%、いすゞ製は2%、それぞれDハブより強度が劣るとしていた。
ところが、国交省が検証したところ、三菱側が強度比較に使用した日産デ製のハブは、Dハブと同年代のものではなく、当時はすでに製造していない、強度の劣る1980年代の古いハブだったことが判明。Dハブと同時期のハブで比較すると、日産デ製のハブは27%強度が高かった。
また、いすゞ製ハブは寸法が一部誤っていたほか、日野製ハブでも、鋼材の材質を低く見積もっていた。こちらも検証の結果、Dハブと比べて、いすゞ製は21%、日野製は78%、それぞれ強度が高いことがわかり、三菱のハブが最も強度が劣っていた。
三菱側は横浜の事故発生直後、国交省に改ざんした比較データを示し、「他社より強度が劣ることはない」「原因は整備不良による摩耗」などとしてリコールを回避していた。
しかし、今年3月に一転して強度不足を認め、大型トラック計約22万台をリコールしたが、今月6日現在、恒久対策を済ませたのは、実際に登録されている台数の約56%にとどまっている。
(読売新聞) - 11月13日3時4分更新
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