2004年11月12日(金) 14時38分
「おれおれ詐欺」ついに中学生も、全国で初の逮捕(読売新聞)
警察官を装った「おれおれ詐欺」グループのメンバーとして、千葉県内の主婦から約50万円をだまし取っていた詐欺の疑いで、東京都内の区立中学生2人と都立高校生1人が、警視庁おれおれ詐欺集中取締本部に逮捕されていたことが、12日わかった。
おれおれ詐欺に関与した中学生が逮捕されたのは、全国で初めて。同本部では、同グループがこれまでに数十件のおれおれ詐欺を繰り返し、1000万円以上をだまし取っていたとみて余罪を追及するとともに、容疑者の低年齢化に警戒を強めている。
逮捕されたのは、いずれも東京都江戸川区の同区立中学3年で15歳の少年2人と、都立高校1年で16歳の少年1人、19歳の無職少年の4人。
調べによると、4人が属する詐欺グループは今年6月、警察官を装って千葉県内の主婦に電話をかけて、「ご主人が交通事故を起こした。相手方の女性は妊娠しており、破水してしまった。早く示談にしなければ、ご主人は刑務所に行くことになる」などと偽り、示談金名目で、指定した銀行口座に約50万円を振り込ませた疑い。
警察官役は、4人以外のメンバーが演じていたとみられるが、容疑者はまだ逮捕されていない。
中学生2人は、無職少年や高校生らの指示を受け、主婦が振り込んだ金を口座から引き出していたといい、おれおれ詐欺が1回成功する度に、数万円の報酬を受け取っていたという。2人は「小遣い銭欲しさにやった」などと容疑を認めているという。
逮捕された中学生のうち1人が今年夏ごろ、警視庁にひったくりで逮捕された際、「おれおれ詐欺で引き出した金を、上の人に渡さずに使い込んでしまった。埋め合わせをするために、ひったくりをやった」などと供述したことからグループの存在が浮上した。
同本部で、警察官役を演じた男の行方を追っているが、メンバーには逮捕された2人以外にも中学生がいたとの情報もあり、逮捕した4人を追及し、グループの解明を進める。
◆“劇団型”が主流…最近のおれおれ詐欺◆
最近のおれおれ詐欺は、警察官役、弁護士役、暴力団員役などが入れ替わり登場する“劇団型”が主流で、孫や息子を装って「おれ、おれ」と電話をかけてくる単独犯型の手口は激減している。
詐欺犯罪に詳しい東京経済大教授(現代法学)の村千鶴子弁護士は、「犯人が『おれ、おれ』と言ってないから、おれおれ詐欺ではないと判断してしまう人が多い。おれおれ詐欺という言葉が、かえって市民を惑わしている」と指摘。被害に遭わないために、2つの防止策を挙げる。
1つは、金をすぐに振り込まないこと。「本当の事故でも、手術代や車の修理代など、その日のうちに必要ということはありえない」からだ。
2つ目は、警察官や弁護士などから電話がかかってきても、必ず相手の氏名、部署を聞いて、折り返し電話をかけること。「相手が言う番号ではなく、警察署や弁護士事務所の番号を自分で調べてほしい」とアドバイスする。
警視庁も、犯行電話をイメージしてもらおうと、警察官役などが登場するデモテープを作成し、高齢者や主婦を集めてテープを聞いてもらうなどの防犯対策を進めている。
(読売新聞) - 11月12日14時38分更新
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