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2004年10月29日(金) 00時00分

消費税上げ これでは不信を招く 東京新聞

 消費税率引き上げ問題が浮上してきた。財政当局はこれによって、財政の危機的現状を打開したいのだろう。しかし、国民に受け入れてもらうためには、ハードルはいくつもある。

 「二〇〇七年度からは消費税(の引き上げ)をお願いするような形で議論しなければならない」—。谷垣禎一財務相は二十八日、参院でこういう趣旨の発言をした。

 一方で、小泉純一郎首相はしばしば「私の在任中には引き上げない」と明言している。両者の発言は矛盾しそうだが、首相の自民党総裁の任期が〇六年秋までであることを考えれば、一応のつじつまは合う。

 また、昨年末に出た与党税制改正大綱の中で「〇七年度をめどに…消費税を含む抜本的税制改革を実現する」と書かれていることも、財務相発言の背景にあるとみられる。

 とはいえ、税率引き上げは国民生活に直接かかわる重大事である。首相が具体的に言及していないのに、担当大臣が先走った発言をして、既成事実を積み重ねていくのでは、国民の不信を招く。本気で消費税を議論するつもりなら、首相は真正面から国民に説明すべきではないか。

 それにしても、財務相はなぜ今、あえて時期を明示して、消費税率引き上げを示唆したのか。

 日本の財政危機が背景にあるからだ。〇四年度予算では、一般会計八十二兆千百九億円のうち、歳入の柱であるべき税収は四十一兆七千四百七十億円と、50%をわずかに超えるだけである。

 政府は歳出削減にも取り組んでいるものの、制度改正しない限り増え続ける社会保障費などの圧力で、目立った効果は上がっていない。

 財政再建の足掛かりをつかむには、増税しかないと判断しているようだ。所得税の定率減税の縮小・廃止を狙っているのも、その一環だ。

 この増税路線の「大本命」が消費税率上げである。消費税は1%で二兆五千億円の税収が見込める大型間接税だ。財政を劇的に改善しようとすれば、消費税率上げが一番手っ取り早い。〇七年度実施を図るなら、そろそろ具体的な論議を始める必要があるのだろう。

 しかし、「取りやすいところから取る」では、納得は得られまい。

 まず、歳出削減だけでは、なぜ財政を改善できないのかという点を説明する必要がある。また、消費税徴収の透明化のために、現在の帳簿方式ではなくインボイス(税額票)方式に改めるなど、制度改革なども提示すべきだ。税率論議はその後ではないか。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20041029/col_____sha_____002.shtml