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2004年10月27日(水) 12時50分

国立マンション訴訟、住民側逆転敗訴…景観利益認めず読売新聞

 東京都国立市の高層マンション(14階建て、高さ約44メートル)を巡り、周辺住民49人などが建築主の明和地所(東京都渋谷区)などを相手取り、同市の条例が禁じた高さ20メートルを超える部分の撤去などを求めた訴訟の控訴審判決が27日、東京高裁であった。

 大藤敏裁判長(高野芳久裁判長が代読)は「建物による景観被害は認められない」と述べ、通りに面した1棟の高さ20メートルを超える部分(7階以上)を撤去することなどを命じた一審・東京地裁判決を取り消し、請求を棄却する住民側逆転敗訴の判決を言い渡した。住民側は上告する方針。

 訴訟では、法的に保護される「景観権」「景観利益」が成り立つかどうかが争点となった。判決は、「景観が良好かどうかは人によって違う主観的なものであり、裁判所が判断することは適当でない」と指摘。「個々の国民が個別的な権利・利益として良好な景観を享受する地位を持つものではなく、個人の人格的利益とは言えない」として、1審とは逆に「景観利益」を認めない判断を示した。

 また、マンションの建築計画を知った国立市が着工から約1か月後に、建物の高さを制限する条例を施行したことについても、「明和地所の意向を無視して、建築を一方的に制限する目的だった」と批判。条例施行時には工事がすでに始まっていたことから、マンションは条例の適用を受けないと指摘し、違法建築にはならないと認定した。

 このマンションは、桜とイチョウ並木が続く通称「大学通り」にある。2000年2月、国立市が建物の高さを20メートル以下に制限する条例を施行したが、同社が工事を続けたため、住民が提訴した。1審判決は「景観利益」を認めた上で、2002年12月、マンションの一部撤去と、通りから20メートル以内に土地を持つ原告3人への月1万円の支払いを命じ、原告、被告双方が控訴していた。

 マンションは東西南北の4棟で計343戸。2002年2月から分譲が始まり、現在は229世帯が入居、原告は裁判で東棟と南棟の7階以上の撤去を求めていた。1審判決で撤去が命じられた東棟の部分には現在、22世帯が賃貸で入居している。
(読売新聞) - 10月27日12時50分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041027-00000405-yom-soci