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2004年10月23日(土) 07時08分

市町村へピンポイントで「土砂災害警戒情報」 気象庁朝日新聞

 相次ぐ台風や集中豪雨の被害を受け、気象庁は都道府県と連携し、土砂災害の危険が高まっている市町村に向けて、ピンポイントで「土砂災害警戒情報」を出すことを決めた。来年度にも一部の都道府県で正式に提供を始め、全国に広げていく。台風21号や23号では市町村の避難勧告が遅れ、被害を拡大したとの指摘も出ている。危険な市町村に絞って情報を伝え、早めの避難に役立ててもらう狙いだ。

 新たな警戒情報は、各地の気象台と都道府県の河川局などが共同で作成。(1)これまでの降水量(2)今後予想される雨量(3)推定される地盤の緩み——などから危険度を推計。「○○町では今後2時間以内に土砂災害の危険度が非常に高くなる」などと対象の市町村に伝える。

 気象庁は今年3月から地中にしみこんだ雨量をもとに、大雨警報の中の「重要変更」として「○○地区は過去数年間で最も土砂災害の危険が高まっている」との情報を都道府県を通じて出している。しかし、対象地域が広いうえ、情報の意味が十分に理解されないため、生かされていないケースが目立っていた。

 台風21号で土砂崩れが発生し、7人が死亡・行方不明となった三重県宮川村では、同村など12市町村がある「紀勢・東紀州」地区に「重要変更」が出された。しかし、同村が避難勧告を出したのはその30分後。住民からの「山が崩れている」との情報に基づくもので、気象庁からの情報は結果として生かされていなかった。

 このため、雨量など気象台のデータだけでなく、県などが把握する地盤強度のデータと組み合わせることでより地域を限定するようにした。

 今年の風水害による死者・行方不明者は220人を超え、内閣府の資料で被災原因が推測される168人のうち、土砂災害は34人と最も多い。土砂崩れが起きた地域からは「避難勧告が出るのが遅い」との指摘が出ている。

 同庁は「土砂災害警戒情報は市町村まで絞り込んで出すので、対象となった自治体には迅速な防災対策に役立ててほしい」と期待している。(10/23 07:07)

http://www.asahi.com/national/update/1023/002.html