2004年10月23日(土) 14時04分
<牛肉偽装>「400トンを架空申請し助成金」フジチク幹部(毎日新聞)
国のBSE(牛海綿状脳症)対策の国産牛肉買い上げ事業を巡る食肉卸売り「フジチク」(名古屋市)グループの牛肉偽装疑惑で、グループ会社の幹部が「(申請窓口である業界団体の)愛知県同和食肉事業協同組合(愛同食)が買い上げ申請した1246トンのうち、約400トンは架空だった」と周囲に話していることが22日、分かった。
空箱を使ってつじつまを合わせていたといい、フジチクグループが不正に多額の助成金を得るため、対象外の輸入牛肉を国産牛肉と偽装したとされるだけでなく、架空の申請まで行って、水増ししていた疑いが濃厚になった。
愛同食はフジチクグループ会長(62)が代表理事を務め、活動をすべて取り仕切っていたとされる。大阪市の食肉卸売り「ハンナン」グループの牛肉偽装事件では、輸入肉などの混入はあったが申請量に見合う牛肉が存在したといい、より悪質な不正申請事件に発展する可能性が出てきた。
関係者によると、この幹部は買い上げ申請が行われた01年秋当時、グループ会社の工場に勤務。幹部は「愛同食が申請した牛肉のうち400トンは架空で、カラ伝票で処理した。系列会社のうち休眠会社の名義を使って仕入れ伝票などを偽造し、買い上げ申請した」と話している。架空の牛肉については空箱を使ってつじつま合わせをしたという。買い上げ申請ではいったん倉庫に保管し、市場から隔離した牛肉が対象になっており、空箱については、農水省の検査などに備え、用意したとみられる。
買い上げ申請では、事業対象肉であることを証明する保管倉庫業者発行の「在庫証明書」の添付が義務づけられていた。フジチクグループは牛肉を仕入れたとの架空の伝票類を偽造。さらに、この在庫証明書も偽造していたとみられる。
愛同食は全国の申請団体で最大規模の1246トンの牛肉を買い上げ申請し、約23億8000万円の助成金を受け取った。愛同食を通じて助成金を得た5社1団体のうち、4社1団体は同グループ系列や影響下にあり、申請量は1228トンを占めた。
民間の信用調査会社や関係者によると、この中には活動実態がなかったり、休眠状態だった会社も含まれていた。
(毎日新聞) - 10月23日14時4分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041023-00000045-mai-soci