悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2004年10月22日(金) 10時42分

問われる企業倫理 ローヤル元社員ら逮捕京都新聞

 【解説】大阪市の第三セクター「大阪港埠頭(ふとう)ターミナル」の輸入野菜偽装事件は21日、同社と荷主の青果商社「ローヤル」(京都市)の社員や元社員の逮捕に発展した。ローヤルの内田昌一社長は、京滋の青果流通で圧倒的シェアを誇る卸会社の京都青果合同会長を兼ね、京都の食品業界の「ご意見番」的存在だっただけに、業界だけでなく一般消費者の信頼を損なった事件の衝撃は大きい。
 「スーパーへの欠品を恐れた」。偽装に関与した同社の元社員は、動機について取引先に商談通りの産地の青果物を準備できず、その穴埋めをするためだったと釈明。背景には、大量の商品を発注する大手小売業者と卸会社の立場の強弱が近年鮮明化し、欠品を告げると取引中止になるプレッシャーがあったという。
 しかし、スーパーとの取引関係を重視しながら、偽装商品の出荷で逆に取引先や消費者を裏切ることに社員が苦悩や疑問を感じないはずがない。ローヤルは会社ぐるみの関与を否定し、「担当者の判断だった」と会見で強調したが、社員が偽装に走る前に、なぜ上司に欠品の事実や対処法を相談できる体制がなかったのか。上司の目配りは10分だったか。問題は、企業の体質や土壌に深く根ざしているはずだ。
 消費者の「食の安全」への意識が高まる一方で、「流通の現場では商品管理の意識はまだまだ低い」(市場幹部)との声もあり、業界全体のモラル向上も問われている。
 この1年間、京都の食品業界で不祥事が相次いだ。企業倫理や法令順守(コンプライアンス)に反する問題は、善悪の区別が付きにくいグレーゾーンで起こるといわれる。小さなことでも社員が「おかしい」と口に出して議論し、改善する会社風土が日常に潜む「危機の芽」を摘む。事件を通して、当然の企業倫理や法令順守を企業全体に徹底する難しさが、あらためて浮き彫りになったといえる。
(京都新聞) - 10月22日10時42分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041022-00000005-kyt-l26