2004年10月21日(木) 23時42分
「スギヒラタケ」で?5人死亡…急性脳症と診断(読売新聞)
新潟県内の50—80歳代の男女11人が「急性脳症」と診断され、うち3人が死亡していたことが21日、同県の調べでわかった。また、山形県も同日、「急性脳症」で60歳代と70歳代の男女2人が死亡したと発表した。
13人はいずれも人工透析を受けたことがあるなど腎機能が低下していた上、山形の1人を除き、発症前に食用キノコ「スギヒラタケ」を食べていたことが確認された。新潟県は「スギヒラタケは食べても安全だが、腎機能に障害がある人は食べるのを控えた方がいい」と注意を呼び掛けている。
また、山形県も21日、9月以降に同県置賜地方の60歳代の女性と庄内地方の70歳代男性の2人が、急性脳症の疑いで死亡していたと発表した。同県保健薬務課によると、女性は入院前にスギヒラタケを食べていたことが確認された。2人とも腎臓の人工透析を受けたことがあるという。
急性脳症とは、急性の中枢神経障害で原因が特定できないものの総称で、国内では集中して発生した例は過去にない。
一方、新潟県内では、スギヒラタケを食べる人たちに動揺が広がっている。山北町の男性(58)によると、今年は近年にない豊作だったといい、「食べて調子が悪くなったという話は聞いたことがない」と困惑した表情。朝日村の直売所の女性従業員は「薬との食べ合わせによって具合が悪くなったのでは」と話した。
◆厚労省の調査でも「何もわからない」◆
厚労省は今月14日に、新潟県から連絡を受け、16日には、国立感染症研究所、日本中毒情報センターの専門家らを現地に派遣、食中毒や感染症の可能性についての検討、調査を行った。同省健康危機管理対策室は「これだけ調査しても何もわからないのは非常に珍しい」として、引き続き調査を進める。
同省は、日本脳炎や西ナイル熱などウイルス感染症や細菌性の髄膜炎の可能性も念頭に検査したが、病原体は検出されなかった。スギヒラタケは食用キノコで患者に下痢やおう吐など食中毒特有の症状がないことなどから、「直接の原因とは考えにくい」としている。
◆スギヒラタケ=夏から秋にかけ、湿った杉の倒木などに生える野生のキノコ。白色の扇形で、傘の大きさは2—6センチ。毒性はないとされる。新潟県内では、みそ汁や炊き込みご飯の具として食べられている。大量栽培は難しいため、一般のスーパーなどではほとんど流通していない。
(読売新聞) - 10月21日23時42分更新
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