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9月の新学期から「宗教シンボル禁止法」が導入されたフランスの公立校で19日、スカーフ姿を続けていたイスラム教徒の女子中学生2人が初の退学処分となった。また、ターバンを脱ぐことを拒んで授業参加禁止処分になったシーク教徒の高校生たちが裁判を起こした。同国内外のイスラム社会から反発を呼んだ同法をめぐり、学校現場に波紋が出始めている。
退学処分が出たのは同国東部ミュールーズ。処分を発表した学校長によると、2人は仏学制の第5学年にあたる13歳と12歳の中学生で、新学期の開始時からスカーフ姿を通したため、家族を交えて話し合いを重ねた。
2人はスカーフをバンダナに代えたが、説得に応じる姿勢は見られず、19日夕の規律委員会(非公開)で退学させることを決めた。処分者の家族は、8日以内に管轄のストラスブール学区長に異議を申し立てられる。
同学区では新学期とともに組織的とも見られる抵抗が続き、2人を含む17人がスカーフやバンダナの着用を続けていた。AFP通信によると、20日にもミュールーズの2高校で女生徒1人ずつに対する規律委が招集されているほか、他学区でも同様の動きがある。
一方、授業参加が禁じられたのは、パリ郊外に住む男子高校生3人。関係者によると、同法が施行された9月から、ふだんより短いターバンを巻いて登校したが、教室に入るのを許されず、食堂などで自習する毎日が続いているという。
学校側は通信教育の受講や私立校への転校を勧めたが、生徒側が公立校での教育を求めて話し合いは決裂。生徒たちは学校当局を相手取って19日、提訴に踏み切った。
在仏シーク教徒団体は「ターバンは髪を切ることを許されないシーク教徒の男性に不可欠で、宗教目的はない」と主張していた。多くの学校は短いターバンを黙認する措置をとったが、一部の学校は「あらゆるかぶり物は一律禁止」とする規定を設けた。
そうした学校では教員から「シーク教徒を特別扱いするのは、スカーフが認められないイスラム教徒への差別」という声があがっているという。
19日で施行48日目となった宗教シンボル禁止法は、国是の政教分離原則に従い、公立の小中高校で「宗教への帰属をこれ見よがしに示す標章や服装」を禁じている。従わない生徒は教室から隔離したうえ、校長が説得に努める決まり。具体的な違反基準や説得期間は現場の判断に任されている。
仏教育省によると、同国内の公立校全体での違反者は先週の時点で72人おり、説得断念による退学処分が続きそうだ。
(10/20 14:19)