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ダークスーツにサングラスをかけた犯人三人が舞台に登場した。机上には携帯電話の契約者名簿と住宅地図。「金沢西署の金沢ですが、太郎さんのお宅ですか」。一人で留守番をする妻に電話。妻は夫が人身事故を起こし、相手の妊婦が緊急手術をすると信じて示談金の百万円を振り込み、犯人三人が「ばんざーい」と喜んで劇は終了した。
演劇の脚本を書いたのは、県警犯罪抑止対策室室長の川村孝治警視。「最新の巧妙な手口を知ってもらいたいが、文章にすると長くなるので、演劇を思いついた」と話す。一週間ほどの練習で、県警生活安全課の警官はすっかり、“柄の悪い犯人役”になりきっていた。
劇の後、金沢西署の吉田克美生活安全課長は「今の世の中、個人情報はあふれているが、(おれおれ詐欺以外に)電話一本で現金を要求することは百パーセントない。本人に連絡が取れなくても職場や第三者に必ず相談を。また、警察が示談の仲介をすることはあり得ない」と、おれおれ詐欺の撃退法を説明した。劇を見た主婦(61)は「あんなに巧妙なら、私もだまされるかもしれない。手口を知るいい機会になった」と笑顔を見せた。
おれおれ詐欺対策に力を入れているのは、県警本部だけではない。金沢中署では、注意喚起のポスター二千部を作製した。これまでは金融機関を中心に配布していたが、多くの人の目に触れるよう、公民館やコンビニエンスストア、スーパーマーケットなどにも掲示するという。
こんな電話気を付けて県内のおれおれ詐欺被害は、十五日現在で六十七件。被害総額は約一億二千万円に上っている。劇中で紹介された市民がだまされそうな事例は次の通り。
(1)夫の実名を言って電話をかけ、実在の事故現場と警察署を言う(2)事前に夫の携帯電話にしつこく電話して電源を切らせ、妻が連絡を取れないようにする(3)無線交信や救急車の音を聞かせ事故現場の臨場感を出す(4)「現場検証が終わって検察庁に書類を送るまでに示談しないと、刑事告訴され交通刑務所に行く」と、一般人になじみの薄い専門用語を並べる(5)昼すぎに電話をかけ「示談までに時間がない」と、午後三時までの振り込みをせかす
http://www.tokyo-np.co.jp/00/ikw/20041017/lcl_____ikw_____002.shtml