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2004年10月17日(日) 12時10分

電子カルテ共有、各地で休止 手間と費用に医師ら敬遠朝日新聞

 経済産業省の支援を受けて、電子化したカルテを地域の医療機関で共有し、病院や診療所間の連携に役立てる取り組みが、全国各地で次々と休止に追い込まれている。地域ごとのシステム開発を国費で支援し、開発終了後も継続をもくろんだが、事業期間が終わると費用は医療機関の負担に。「費用が高すぎる」「入力が面倒」などと、医師らに敬遠されたようだ。

 この事業は、経産省が00年度の補正予算で01年度に実施した「先進的情報技術活用型医療機関等ネットワーク化推進事業」(通称・電子カルテの共有モデル事業)。地域の医療機関が、患者紹介の効率化などのため、ネットワークを作りカルテを共有するシステムの開発・運用に、合計約56億円を投入。モデル地域を全国公募し、26地域の医師会などが参加した。

 事業終了後も続ける義務はないが、作ったシステムはそのまま使え、経産省も地域に根付くことを期待した。しかし、10地域で完全休止に追い込まれた。

 三重県久居市・津市では、約2億5000万円の国費でシステムを開発。事業終了後も継続したが、ソフトの使用料など月約2万円の負担が敬遠され、当初14あった参加診療所は二つに激減。今年3月に休止が決まった。

 約4000万円をかけ47機関が加わった静岡市では、費用負担に加えて「電子カルテの入力が複雑」との声が強く、中止。宮城県仙台市・古川市でも、「患者のデータを知るのは電話やファクスが慣れている」「自分で診断したデータしか信用しない」……。21機関が参加し約2億4000万円を費やしたが、自然消滅した。

 システム継続に成功した地域もある。愛知県の豊田加茂医師会では、トヨタ記念病院(豊田市)が月約130万円のシステム維持費を負担し、開業医の負担は月約4000円のインターネット接続料のみ。現在も38機関が続け、月ごとのデータベース検索件数は多い時で約2600件と好調だ。

 経産省医療・福祉機器産業室は相次ぐ休止について、「費用や入力の手間がかかっても、効率化といった目的を追求するシステムなのに、ムードで手を挙げた団体もあるのではないか」とする。(10/17 12:10)

http://www.asahi.com/national/update/1017/011.html