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欲しい物を市価より安く入手できるインターネット・オークション。便利だが、入金したのに品物が送られてこないといったトラブルも頻発している。どんな点に気をつければよいのだろうか。(高田 真之)
「入札には細心の注意を払ったのだが……。初めての落札でだまされるとは思ってもみなかった」。横浜市内に住む会社員の男性(24)は先月初め、ネットオークションで見つけたカーナビの新製品を16万8000円で落札した。指定された銀行口座に代金を振り込んだが、2週間経過しても商品が届かず、警察に詐欺の被害届を出した。
解約と返金を求めるメールには謝罪の返信ばかり。そのうち口座も閉鎖され、メールも届かなくなった。やがて教えられた住所が、電話や郵便物を取り次ぐ秘書代行会社のものだったことが判明した。
警察庁によると、今年上半期に受理したネットオークションがらみの被害相談は7393件に上り、前年同期の3倍に増えた。
国内最大のオークションを運営するヤフー(東京都港区)は、今年7月から出品者の確認手続きを強化。登録された住所に郵便物を送り、本当に本人に届くのかを確かめている。
しかし、冒頭のケースのように、秘書代行会社を使えば、本当の住所を明らかにしないまま取引を続けることが可能だ。ヤフーは「大部分の参加者は健全な取引をしている。もっと厳格な方法を取ると、参加者の利便性が低下する」(オークション事業部)と言い、今のところこれ以上の確認手段を講じる予定はない。
どうやって被害を防げばよいのか。ネットオークションの詐欺事例集を出版したパソコン講師中島慎一さん(30)(三重県四日市市)は「参加者自身が細心の注意を払うこと」と指摘する。自分のサイトで、疑わしい出品者の情報や被害回避の方法を紹介している。
それによると、参加者が確認すべきなのは、〈1〉出品者に対する評価〈2〉出品物の写真〈3〉落札後に出品者から送られてくるメールに記載された詳細住所・電話番号——だ。
出品者が取引を重ねると、落札者による評価がサイトに書き込まれていく。評価の低い出品者の物件を避けるのはもちろん、最初見た時評価が良くても急に悪くなる場合もあるので、入金するまで何度も確認する必要がある。
〈2〉の写真も要注意だ。出品者が自分で品物を撮影せず、メーカーのホームページなどから転載している場合、品物が出品者の手元にない可能性が高い。
悪質なトラブルを起こした出品者の住所と電話番号を載せたブラックリストがネット上で公表されている(中島さんのサイトなど参照)。名前やIDを変えていても、住所や電話番号と照らし合わせて調べることができる。ヤフーは、トラブルの多い出品者の銀行口座を公開している。
送信されてきたメールの頭についている情報(メールヘッダー)を分析すると、そのメールの発信場所がわかる。方法は中島さんのサイトに掲載されているので、念のため出品者のメールを調べてみよう。悪意を持った出品者は、自分を特定されないように、プリペイド式の携帯ネット接続カードやネットカフェなどを利用して送ってくる傾向があるという。
中島さんは、全国に散らばる被害者支援のため、被害情報を受け付けている。各地の情報を集め、トラブルを起こした出品者を突き止めたこともある。
ネット犯罪に詳しい紀藤正樹弁護士は「ネット上でも一般社会と同じく犯罪はなくならない。オークションに参加するとリスクも生じることを認識して取引をすべきだ」と話している。