2004年10月15日(金) 12時17分
<三菱ふそう>改修非協力のユーザーに整備命令 国交省(毎日新聞)
三菱ふそうトラック・バスの欠陥隠し問題で、リコール(回収・無償修理)作業の遅れで事故が多発しているため、国土交通省は15日、改修に協力しないユーザー(車両所有者や使用者)に対し、道路運送車両法に基づく整備命令を発動、従わない場合は運行停止処分とすることを決めた。こうした整備命令は、暴走族の違法改造や悪質な整備不良を対象に年間約5000件出しているが、リコールされた欠陥車両を対象にするのは初めて。同省は、まず最も危険性が高いとされるクラッチハウジングの欠陥について、未改修の車両約1350台のユーザーを対象に命令書を交付する方針だ。
北側一雄国交相が15日の閣議後会見で明らかにした。メーカーのリコール通知に応じないユーザーに地方運輸局が直接、整備命令書を交付する。一定期間に従わない場合、車検証取り上げなどの行政処分のほか、罰金50万円以下の刑事罰も適用できる。
三菱ふそうは今年3月以降、大型車の部品「ハブ」や「クラッチハウジング」の欠陥で2件の死亡事故が発覚したことから、両欠陥を含め47欠陥のリコールを表明。これまでに40件のリコールを同省に届け、今月末に完了するとしている。
この間、国交省は同社にリコールの促進や事前の緊急点検実施を指導。しかし届け出済みの案件も改修作業が進まず、今月6日には非常口横座席が前に倒れる欠陥により、大阪市営バスで乗客の人身事故が発生。13日に届けた大型トラックのプロペラシャフトが脱落する欠陥では、今年7月、北九州都市高速道で脱落部品に車4台が接触、2人が軽傷を負う事故があった。今月11日にも横浜市の首都高速で脱落したプロペラシャフトに後続車4台が乗り上げる事故が発生。同省は事態が極めて深刻と判断した。
クラッチハウジングの欠陥は、5月にリコール届け出後、暫定対策を95%の車両に実施したが、路上故障が相次いだ。約3000台が未改修のままだが、このうちユーザーの所在が不明で車検切れの車約1700台についても、追跡調査する。
北側国交相は「自動車は安全が最も大事。危険な車を放っておくわけにはいかない。早急に安心できるようにしたい」と述べた。【武田良敬】
<クラッチハウジング>
エンジンと変速機を結合するクラッチを覆う金属製カバー。強度が不足すると、走行中の振動で破断し、駆動力を後輪に伝えるプロペラシャフトの脱落やブレーキ系統の破損につながる。02年10月に山口県で三菱自動車製トラックが制御不能になり、死亡事故が起きた。
(毎日新聞) - 10月15日12時17分更新
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