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2004年10月13日(水) 00時00分

オレオレ詐欺を防げ(上) 幅広い被害者層朝日新聞・

  家族などを装って電話をかけ、トラブルの解決金名目で現金を振り込ませる「オレオレ詐欺」の被害が後を絶たない。県内で、1〜9月末に県警に届け出があった被害は247件(うち未遂102件)、計2億6285万円。1カ月あたり約27件に上り、ほぼ1日1件の割合だ。巧妙化する手口。なぜ信じてしまうのか。被害を防ぐ手だてはないのか。2回にわたり報告する。(木村聡史)

  県警捜査2課のまとめでは、9月末までの被害件数は、昨年1年間の160件(被害総額7849万円)を既に超えた。金額は3倍以上。同課は「これは氷山の一角。恥ずかしいなどの理由で未遂も含めて届け出ていない被害もあるのではないか」とみており、事態は数字以上に深刻だ。

  犯行の手口は当初、1人で「オレオレ」と孫や息子を装うケースが多かった。最近では、警察官や弁護士など複数が登場する「劇団型」が増え、巧妙化している。

  犯人も特定しにくい。県内で「オレオレ詐欺」の容疑で逮捕したのは、1月の1グループだけ。金の受け渡しに、事情を知らない宅配業者を利用したことが手がかりとなった。

  だが、それ以降の摘発はない。同課は二つの理由を挙げる。

  一つは、プリペイド式携帯電話が使われることが多い点。犯罪に多用されたことから、契約時に身分証明書の提示は求められるようになったものの、コンビニエンスストアなどでは「本人確認が甘いこともある」(携帯電話会社社員)との指摘もある。

  二つ目は、振り込み用に使われる口座。通常の手続きで手に入れた通帳とカードが、1セット数万円でインターネットなどで売買されている。詐欺に使われたと名義人に問いつめても、「落とした」との一点張りで、逮捕につながりにくい。

  県警は、被害に歯止めをかけようと金融機関と協力しあい、現金自動出入機(ATM)の操作画面に注意を促すテロップを流したり、ポスターをはったりして様々な防止策をとる。金融機関も怪しい口座の強制解約のほか、窓口での声かけや行員の指導などで被害の防止に必死だ。




  県内の被害にはどんな特徴があるのだろうか。1〜9月に県警が発表した資料を基に、特徴的な項目に分けて調べた。

  【被害者】最も多いのは50代の66件。70代の50件、40代の46件が続く。20〜30代でも27件あり、年齢の幅は広い。女性が多いが、息子や孫がいる男性もいる。20〜40代の男性は5件。地域別で見ても大きな偏りはなく、誰にでも「オレオレ」と電話がかかってくる可能性がある。

  【時間】金融機関の窓口で振り込みができなくなる午後3時以降の電話はほとんどなく、午前10時〜午後2時に集中している。仕事や学校で家族が外出し、主婦らが1人になることが多い時間帯だ。「早く入金しないと間に合わない」と振り込みを急がせ、動揺させるのが狙いらしい。

  【犯人】電話に出るのは男が大半だ。息子や孫のほか、交通事故の被害者、警察官、金融業者、弁護士、保険会社員と多彩。

  とくに多いのは警察官で、Y署交通課のX(偽名)と詳しく名乗ることもあり、「警察官が言うことなら信用できる」という考えを逆手に取っている。本人→警察官→被害者→保険会社員などと複数の人間が電話口に目まぐるしく登場し、芝居のごとく演じる。

  【手口】交通事故を起こし、その示談金を要求する手口が5割以上を占める。事故の被害者に妊婦がいて破水してしまったというケースも多く、示談金のほかに入院費、手術費、慰謝料なども加算され、被害額も大きくなる。

  「借金が返せなくなった」「彼女を妊娠させてしまった」などもある。

  また、本人の個人情報を入手し、「A(本名)さんの奥さんですね?」と名前を言って信用させたり、電話を一度切った後、本人と確認するのを阻止するため、本人の携帯電話に電話をかけ続けたりする例もある。

  そして、「払わないと容疑者なので帰れない」「入金を確認してから解放する」などと言って振り込みを急がせる。振り込み先は県内外の金融機関。振り込んだら最後。5分もたたずに引き落とされている。

  【最も多い手口】最初に電話に出るのは警察官役。「Bさんが交通事故を起こした」と事故の状況を説明し、示談の話を持ち出す。本人に確認をとろうとしても、本人役は泣き崩れて話ができない。そこに被害者役が出て、悲痛の言葉とともに示談金を交渉するという構成。弁護士や保険会社員が続くこともある。

  【要求額】被害額の最高は1500万円。要求されるのは100万円以上が多い。500万円を超える被害も6件あり、要求額も増えつつある。214万円7千円、147万3千円など、細かい数字を提示して本当らしく見せることもある。(10/13)

http://mytown.asahi.com/ibaraki/news02.asp?kiji=8085