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[基本料値下げ]「固定電話の消耗戦が始まった」
固定電話料金の値下げ競争が再燃した。
KDDIとソフトバンク系の日本テレコムが、料金をNTTより安くした固定電話サービスを始めると宣言したのがきっかけだ。値下げで対抗したNTTに、日本テレコムが再値下げで応じるなど、固定電話は消耗戦の様相を強めている。
値下げは歓迎するが、競争が行き過ぎて、過疎地などでのサービスの低下を招くことも懸念される。消耗戦の副作用を警戒する必要がある。
現在、「マイライン」(電話会社事前登録制)でKDDIなど新電電と契約している人も、電話機から電話局までの回線はNTTに依存している。その場合、月額基本料はNTTに払っている。
日本テレコム、KDDIの新サービスは、この回線を両社自身がNTTから借りることで、顧客とNTTの関係を断ち切るのが大きな特徴だ。
その利を生かし、両社は消費税抜きで7万2000円の施設設置負担金(電話加入権)が要らず、基本料は大都市の家庭用で原則1500円と、現在のNTTより250円安い価格を設定した。
当初に公表された三分間通話料は、日本テレコムが市内7・9円、長距離が全国一律14・9円、KDDIがそれぞれ8円、15円で、現在のNTTの市内8・5円、長距離20—80円を下回っていた。
これに対し、NTTは大都市の家庭用基本料を1600円、通話料を市内7・5—8・5円、長距離を一律15円に、それぞれ値下げすることを決めた。
NTTの東西地域会社と長距離のNTTコミュニケーションズには厳しい値下げだが、「何もしなければ相当なダメージになる」と、対抗策に踏み切った。
値下げ競争の背景には、IP(インターネット・プロトコル)という新しい通信方式の進展がある。
音声とデータを同時に伝送するIP方式は、高価な交換機の代わりに安い電子機器を使うため、通信網を構成するコストを大幅に引き下げることができる。
KDDIは固定電話網を近く全面的にIP化する。NTTもIP化を加速する方針だ。それは時代の流れでもある。
ただ、IP方式には安定度で不安が残る。KDDIは今回、伝送する時にデータより音声を優先する技術を導入し、通話の品質を大きく向上させた。こうした技術開発への努力が欠かせない。
IP化は大都市から進むだろう。NTTは既に、交換機への投資を絞り込んでいる。値下げ競争で体力を消耗させた結果、過疎地の固定電話が不便になる、という事態は避けなければならない。