2004年10月09日(土) 00時00分
県職員汚職、背景に人事硬直化逮捕された小形俊夫容疑者の机=美濃加茂市山之上町の県可茂用水道事務所で(朝日新聞・)
「なぜ」知事も絶句 県の可茂用水道事務所を舞台にした贈収賄事件で、同事務所の施設課長、小形俊夫容疑者(57)が8日、愛知県警に収賄容疑で逮捕された。浄水場設備工事を巡り業者からわいろを受け取ったとされる。岐阜県職員の逮捕は、01年にあった国際課職員による公金詐欺事件以来。収賄容疑だと84年の八幡土木事務所の汚職事件にまでさかのぼるだけに、県関係者は強い衝撃を受けていた。
小形容疑者が勤務する美濃加茂市山之上町の県可茂用水道事務所では8日午後、15人ほどの職員が仕事をしていた。鈴木盛保所長は困惑した表情で「平生このようなことがあってはならないと職員に注意していた。県民の方々との信頼関係が損なわれ、申し訳ない」と語った。
小形容疑者はこの日午前中、通常通り同事務所で働いていたが、午後からは休暇届を出して職場を離れた。鈴木所長は午後2時半ごろ、県庁からの電話で初めて事件を知ったという。
小形容疑者について同僚らは「水道事業にずっと携わってきた専門職で、職場では重要な存在。業者とのつながりなど、うわさでも聞いたことはなかった」と話す。
小形容疑者は、落札額約8億円の工事をめぐって現金を受け取ったとされるが、鈴木所長は「一人の施設課長が権限を持っていた訳ではなく、業者側も贈賄をする必要はなかったと思う」と話した。
同事務所を所管する県庁の水道企業課には、関係部局から問い合わせが相次いだ。職員は「まだ事情がのみ込めない」と当惑しながら対応に追われていた。
山口温敬・県営水道企画監は約20年前、小形容疑者と可茂用水道事務所で一緒に働いていた。「悪いうわさは聞いておらず、びっくりした。リーダーシップが強く、自分の意見をしっかり言う人だった」と驚いた様子だった。
梶原拓知事は、この日午後3時半ごろに事件を知った。「(業者と)癒着しないよう、特定分野の担当を長く続けないことになっているのに、なぜこうなったのか」と絶句し、個室にこもった。
小形容疑者は73年に「機械」の技術職として採用されてから、一貫して水道に関する部署を歩んだ。
県人事課によると、今年4月現在の技術職員は3955人で、このうち「機械」は1%に満たない33人。さらにこの33人が、「水道畑」「研究畑」「公共建築畑」などと色分けされており、梶原知事の言葉とは裏腹に、実際の人事配置は硬直化が進んでいた。
県幹部の一人は「『機械』は技術職の中でも定員が限られているため、異動範囲にも限度がある」と話している。
(10/9)
http://mytown.asahi.com/gifu/news01.asp?kiji=3735
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