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今年4月に開校した法科大学院(ロースクール)の修了者を対象に06年度から実施される新司法試験で、当面の合格者数についての政府の素案が7日、明らかになった。初年度の合格者数は新試験と現行試験各800人の計1600人で、法科大学院1期生の合格率は34%とする内容だ。司法試験委員会(委員長=上谷清・元大阪高裁長官)はこの案を軸に年内に最終決定する。
新司法試験の受験は3回まで認められ、最終的には5割が合格する見立てだが、当初の「修了者の7、8割が合格」という構想より少なく、法曹養成の中核として創設された法科大学院を修了しても、相当数が合格できないことを明示するものだ。法科大学院のあり方や入学者の動向に与える影響は大きく、議論を呼びそうだ。
法科大学院は、現行司法試験は合格率が数%でマニュアル志向の法律家を生むとの批判から、司法制度改革の中で法曹実務家の養成機関として構想された。
司法試験委は法曹三者ら7人で構成され、法務省に設置されている。法曹の質・量の充実を図る狙いから司法試験合格者を2010年までに3000人に大幅増員することを前提として、その段階まで合格者をどんなペースで増やすか、現行試験と新試験が併存する移行期間(5年間)の両試験の合格者割合をどうするか、などを詰めている。
素案は法務省がまとめ、7日に同委に示した。法科大学院には法学既習者向けの2年制と、未習者向けの3年制があるが、素案は2年制修了者が新試験を受ける06年度は、新試験と現行試験の合格者を同数とした。3年制修了者の受験も始まる07年度は「新」対「現行」を4対1にして新試験を主流とし、段階的に新試験の合格枠を拡大する内容だ。
素案と、現在の法科大学院の定員に基づく同省の試算によると、新司法試験の合格率は初年度34%(受験者2346人)、07年度22%(同7387人)、08年度20%でその後も2割程度で推移する。これらは、修了できずに新試験を受けられない学生が続出したり、法科大学院の定員減で受験者が減る可能性は考慮していないが、07年度以降は複数回の受験者も予測して計算している。
法務省が、初年度の新試験と現行試験の合格枠を同数としたのは、(1)2年制修了者のみが受ける初年度だけ合格率が極端に上がることを避ける(2)法科大学院に行かず、現行試験を選択した学生の質は高いと判断した−−などの理由からだ。
しかし、法科大学院構想にかかわった関係者からは「法科大学院修了者からの合格を基本とすべきで、現行試験組の枠を広げすぎると、法科大学院を法曹養成の中核と位置づける理念から外れる」との異論も出そうだ。
また、法科大学院関係者の間には「専門教育を受けた揚げ句、大半が司法試験に受からない制度では、法科大学院に優秀な学生が集まらなくなる」との懸念・不安は強く、司法試験委の今後の検討に関心が集まっている。(10/08 09:12)