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2004年10月07日(木) 00時00分

独禁法改正 課徴金10%は低すぎる 東京新聞

 談合の取り締まり強化を柱とする独占禁止法改正案が、臨時国会に提出される。大企業に対する課徴金は大幅に引き上げられたが、まだ低すぎる。談合根絶には、もう一段の引き上げが必要だ。

 今回の約二十五年ぶりの大改正は、制裁を強化することで、後を絶たない産業界の談合を撲滅することが最大の狙いだ。談合の弊害は大きい。例えば道路舗装工事などで闇取引が行われれば、コストは高くなり、国民の税金を無駄に使うことになる。

 企業にとっても良くない。コスト削減の努力をしなくなり、新技術開発の意欲も薄れる。何よりも「企業の社会的責任」を強調していながら、国民の信頼を裏切るものだ。

 改正案の特徴は、(1)大企業への課徴金は現行の違反対象売上高の6%から10%へ引き上げる(2)自社の違反行為を会社として報告すれば、一定率で課徴金を減免する(3)公正取引委員会は違反企業に対して、最初から違反行為の排除命令と課徴金の納付命令を同時に出せる−などである。

 確かにこれで、一定の「談合抑止力」は強まったといえる。だが、撲滅までの効果は期待できない。

 課徴金について公取委は当初、引き上げ幅を12%としていた。過去の入札談合による値上げ率(不当利得率)平均16・5%を参考にした数字だが、「それでは倒産してしまう」との産業界の強い反対もあり、結局は折衷案の10%で決着した。

 違反企業に対する制裁は、米国では違反期間中の当該商品の売上高の15−80%に罰金をかけている。欧州連合(EU)では、総売上高の10%以下の課徴金という厳しさだ。

 公取委は法案成立を意識して、大幅に譲歩したという感が免れない。改正案では、十年以内に再び違反した場合、五割増しの課徴金をかける。これも抑止力につながるというが、最初の課徴金が低すぎる。当初案の12%でも、まだ利益が違反企業に残ることになる。

 また、審査や審判手続きも抜本改革されたが、施行後二年間かけて再検討することになった。裁判官役の審判官について、日本経団連は独立した法曹資格者を充てるべきだと主張している。国会審議では、こうした問題点も詰めてほしい。

 改正案では、談合に自治体などが関与する「官製談合」防止策に踏み込まなかった。この問題は、引き続き見直しの努力が欠かせない。

 公取委は今後、談合は不利・不道徳であることを、産業界に繰り返し説明する必要がある。それが「市場の番人」としての責任である。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20041007/col_____sha_____003.shtml