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【ワシントン=菱沼隆雄】ブッシュ米政権がイラク戦争の大義の柱に掲げながら、未発見となっていた大量破壊兵器の捜索を続けていた米政府調査団のチャールズ・デュエルファー団長は6日、開戦時にはイラク国内に大量破壊兵器は存在せず、具体的開発計画もなかったと結論づけた最終報告書を米議会に提出した。ただ報告書は、国連制裁が解除されれば、再び開発に乗り出す意図はあったとしている。イラク戦争の是非については、11月2日投票の米大統領選でも焦点となっており、選挙戦で議論を呼ぶのは確実だ。
デュエルファー団長は6日の米上院軍事委員会の公聴会で「軍事的に意味のある大量破壊兵器がイラク国内に隠されているとは思わない」と述べ、核、化学、生物などの大量破壊兵器が存在しないとした。また、「(イラク元大統領の)サダム・フセインは戦争前のある時点で大量破壊兵器を持たないことを選択していた」と語り、開発計画自体が開戦時にはなかったとの見方を示した。核兵器開発については、「主要部品の入手を試みたが、(91年の湾岸戦争から)12年がたち、(制裁の影響などで)武器製造能力は衰えていた」などと述べ、開発能力はなかったとの見解を示した。
ただ一方で、政権存続をはかるフセインにとって、当面の目標は国連制裁の解除であり、「制裁解除後に大量破壊兵器の開発を再開するため能力を維持しようとはしていた」と指摘。さらに「サダムは核への野望は捨ててはいなかった」と述べ、大量破壊兵器開発に向けた意思は保持していたと説明した。また、フセイン政権の崩壊で「世界はより平和になったことには賛成しなければならない」と語った。
1000ページに及ぶ報告書は6章にわたり、核、化学、生物兵器などの開発の実態について検証。ウラン濃縮用とされるアルミ管輸入などブッシュ政権が開戦の根拠とした証拠についても「無関係」と断じている。
報告書について、民主党大統領候補のケリー上院議員の陣営は「根本的な間違いが米国を戦争に導いた」(ケリー氏の顧問)と指摘。一方、マクレラン大統領報道官は「フセインが大量破壊兵器の開発へ踏み出すのは時間の問題だった」と開戦の判断に間違いはなかったとの立場を強調した。
◆米調査団最終報告書の骨子▽イラク戦争直前、イラクに大量破壊兵器は存在せず、開発計画もなかった
▽イラクは1991年、大量破壊兵器を基本的に破壊した
▽国連制裁が解除されたら、大量破壊兵器を再び保有する意図があった
▽91年以降、スカッド・ミサイルなどの運搬手段を保持していた証拠はない
▽91年以降、イラクの核開発計画は衰退した
▽91年、未申告の化学兵器を廃棄した
▽91—92年、未申告の生物兵器を廃棄した
http://www.yomiuri.co.jp/features/gulf2/200410/gu20041007_41.htm