2004年10月07日(木) 17時35分
悪質耐震工事、被害相次ぐ 資材置いて「数百万円」も−−注意よびかけ /和歌山(毎日新聞)
◇地震続く中、不安なお年寄りらに付け込む−−関係機関が注意呼びかけ
紀伊半島沖の連続地震などで、家屋の耐震工事への関心が高まりつつある中、悪質な業者から、効果のない工事に対して高額な代金を請求される被害が県内で相次いでいる。関係機関は「耐震診断は専門家に相談してほしい」と注意を呼びかけている。【青木勝彦】
県消費生活センターによると、耐震工事に関する相談は昨年度25件、今年度9件あった。
悪質な業者は1人暮らしの高齢者を狙うことが多く、床下の無料点検や配水管の掃除などと称して突然訪問。デジタルカメラなどで撮影した床下や屋根裏の写真を見せて「地震が起こると家がつぶれる」と東南海・南海地震を引き合いに出して脅すなどし、数十万〜数百万円単位の工事をその場で契約させるケースが多いという。
また、被害者が高齢のため、工事完了を確認できないことを悪用し、床下に資材を置いただけで数百万円を請求したり、他の家で撮影したと見られる写真を見せて脅すなど、詐欺的な手口を使う業者もいる。
和歌山市の住吉建築研究所の一級建築士、栗山哲也さん(51)が相談にかかわったケースでは、訪問診断を受けて不安になった高齢者が契約すると、5、6人の作業員がすぐに工事を開始。数時間で完了したが、床下を補強するためのプラスチック製のつかが、基礎部分に接していないなど耐震上も効果のない工事だった。業者は約120万円を請求したが、弁護士が仲介に入るとクーリングオフに応じたという。
栗山さんは「耐震工事は建物全体のバランスが重要で、床下など一部分の工事は意味がない。工事前に精密な耐震診断を建築士ら専門家に相談することが大切」と話す。
耐震工事に関する被害相談は、建築士や弁護士でつくる「欠陥住宅和歌山ネット」(073・433・3980、あすか綜合法律事務所内)で応じている。
10月7日朝刊
(毎日新聞) - 10月7日17時35分更新
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