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11月から使用の始まる新千円札の見本という触れ込みの“紙幣”が、インターネットで競売にかけられ、6日午後の段階で40万円を超える価格がついていることがわかった。発行前の紙幣は偽造防止のため、見本も含めて焼却して灰になるまで厳重に管理されている。紙幣を印刷している独立行政法人国立印刷局(旧財務省印刷局)は「偽物と断定はできない」としている。流出の可能性もあるとみて、調査に乗り出した。
出品されているのは、表に黄熱病の研究で知られる医学博士の野口英世の肖像、裏に富士山と桜をデザインした新千円札の「見本」1枚。
出品者は、中国・上海市に住む紙幣コレクターの男性。「上海市の業者から買った。業者は、中国沿岸部の粗大ごみ業者から手に入れたと話していた」と説明している。今月4日に出品し、6日午後の段階で入札価格は40万円を超えていた。
写真を見ると、両面の上下に平仮名で「みほん」の文字が入っており、表の左下には見る角度によって「千円」の文字などが浮かび上がる偽造防止の新技術「潜像パール模様」もある。中央には、野口博士の透かしも入っていた。
しかし、実際に流通する紙幣に必ず刷り込まれている肖像下の製造番号や「日銀総裁」の印がなく、紙幣の周囲は刃物で切られたような跡があった。日銀によると、お金としては使えない。
印刷局によると、一般公開された見本券とは「見本」の文字などが異なるが、印刷局内で色の出具合などを確認するための「テスト券」の可能性がある。「現物を見ることができず、真偽は確認できない」としているが、「写真から、明らかに偽物とわかる点も見つからない」としている。
テスト券は完成前の状態のため、偽造の参考にならないよう印刷局から外部への持ち出しを禁じられている。廃棄の際には、局内で細かく裁断した後、業者が焼却する。職員が立ち会い、灰まで確認する。過去に流出したケースはないという。
日銀本店は「見本券とは違い、当行から流出した可能性はない」としており、印刷局に事実確認を求めている。一方、印刷局はテスト券の処分状況を確認するとともに、本物のテスト券かどうかを調べるため、「所有者と連絡をとりたい」としている。
(10/07 03:07)