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2004年10月06日(水) 00時00分

労災病院で検査ミス/和歌山朝日新聞・

 和歌山市古屋の「和歌山労災病院」(谷村弘院長)が8月末、心臓弁膜症の市内の女性(当時71)にカテーテルで静脈圧の検査をした際、誤って肺を傷つけていたことが分かった。女性は18日後に死亡しているが、病院側は「(ミスと)死との因果関係はない」としている。病院側はこの検査を事前に家族に説明しておらず、説明責任のあり方も問われている。

 病院と家族によると、女性は4年前に別の病院で手術を受け、和歌山労災病院で月1回の診察と投薬治療を続けた。だが、5月末ごろから再び体調が悪化。手足がむくみ、食欲がなくなるなどしたため8月31日に入院した。

 病院は同日午後4時ごろ、心臓近くの中心静脈圧をはかる目的で、「CVPカテーテル」と呼ばれる細い管を鎖骨下から静脈に通した。この際、誤って肺を傷つけたという。当日、女性は血たんを吐くなどしていたが、意識はしっかりしていた。しかし、翌日から容体が悪化し、9月18日午前11時前に死亡した。

 家族の求めに応じ、病院側は死因を解明する解剖をし、死因は心臓弁膜症に伴う心不全と肺うっ血水腫と結論づけた。左肺にはカテーテルによる傷が原因とみられる2〜2・5センチの血の塊が見られたが、病院側は「うっ血は肺全体の静脈に血がたまった状態で、部分的な傷とは関係ない」と説明している。

 一方、病院側はカテーテル検査について実施当日の夕に、「誤って肺を傷つけた」と家族に説明したが、検査前には説明しなかった。その理由を「本人には説明した。症状の判断が難しく、家族には、(診療方針を)提示する時間がなかった」などと述べている。

 カテーテル検査に詳しい複数の医療関係者によると、CVPはカテーテルの中では比較的簡易なものという。しかし、「患者に不利益が起こる可能性はあり、本人や家族にインフォームド・コンセント(説明と同意)を実施するのが常識だ」と指摘している。

 同病院は今年5月、地域のかかりつけ医との連携や役割分担を進める県内初の「地域医療支援病院」に認定され、患者に治療方法を十分に説明し、その選択ができるようにする方針を掲げている。木戸拓平副院長は「カテーテル検査の実施前は家族への説明が必要で、今回のケースは残念に思う。安全対策の基準見直しを急ぎたい」と話す。

 家族は「長年の担当医だったのに、対応が不誠実だ」と不信感を募らせている。

(10/6)

http://mytown.asahi.com/wakayama/news02.asp?kiji=2153