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2004年10月05日(火) 00時00分

芋煮(山形県山形市&中山町)読売新聞


直径6メートルの大鍋を取り囲むように芋煮待ちの長大な行列ができる。おたま代わりのクレーンもフル活動

 山形きっての郷土料理として知られるのが、牛肉や里芋などをふんだんに使った芋煮。秋ともなればいずこの河原も、鍋を取り囲み芋煮会が花盛り。そのルーツを探ってみると、意外にも京都の伝統料理・芋棒とのつながりが見えてくる。今回は日本一の芋煮会フェスティバル会場となった山形市と、芋煮発祥の地とされる山形市の北に位置する中山町で、新旧の芋煮を食べ比べてみた。

6メートルもの巨大な鍋で煮る芋煮と江戸情緒溢れる芋煮を食べ比べ

 直径6メートルの大鍋で作られた芋煮を、ショベルカーがダイナミックにすくいあげる。材料は、里芋3・5トン、牛肉1・32トン、コンニャク4000枚、ネギ3850本という途方もない量である。煮ること2時間あまり。別の鍋で作られた芋煮うどんと合わせ、なんと3万5000食が出来上がった。

 日本一の芋煮会フェスティバルの会場を訪れた9月5日、大鍋を取り巻く1万人を超す人数に圧倒されながらも、負けじと行列最後尾に加わる。1時間余り待ち、やっと手にした芋煮の味は、山形牛の濃厚な味が里芋にたっぷりしみ込んで実に美味。「並んで待った甲斐があったわ」という声に頷くばかりである。ともあれ、配り始めて2時間足らずで食べ尽くされるのだからすごい。



さっぱりとした味わいの芋棒煮。油っこい肉料理が苦手な人にはこちらの方がおすすめ

 この時期山形では、河原に鍋と材料を持ち込んで、多くの人々が芋煮会を開く。里芋とコンニャクを鍋に入れて煮て、芋が軟らかくなったら、牛肉とネギを入れ、醤油、砂糖で味付けするのが定番。これは日本一の芋煮会も同様だ。ところが元々は手順も材料も違っていたという。

 芋煮のルーツをたどってみると、意外にも京都とつながりがある。元禄時代、紅花や米、棒鱈を最上川を通じ京へ運んだ中山町の船頭たちが、京で流行っていた海老芋と棒鱈を煮た芋棒を真似て、里芋と棒鱈を使い芋煮を作ったのが始まりという。つまり元々牛肉は使われていなかった。

 元祖芋煮を食べてみたくなって翌日、中山町まで足をのばした。高橋幸子・同町食生活改善推進協議会会長らのグループが、元祖の味を再現していると聞いていたからだ。調理法は、鰹節と煮干しでだしをとり、里芋と水で戻した棒鱈を入れて、芋が軟らかくなるまで煮る。これにコンニャクと干し椎茸、油揚げを入れ、砂糖、酒、醤油で味を付けて完成。現代のものとは材料も手順も違う上、最初にだしをとる点が大きく異なる。

 出来上がった元祖芋煮を食べると、棒鱈の淡白な味が里芋の旨味を引き立たせる。牛肉のこってりとした味とは違い、さっぱりしながらもふくよか。年輩者の多くが「おらだこっちの方が口さ合うな」と言うのもわかる気がした。

 一説によれば、大正時代に地元の中学生たちが、牛肉を使い始めてから濃厚で贅沢な牛肉が好まれるようになったと言うが、実際に食べ比べた感想を言えば、「どちらも捨てがたい」というのが実感。

 中年太りを気にしつつ新旧の芋煮を堪能し尽くした筆者には、高橋会長の「健康には棒鱈の方がいいんだけどなぁ」という言葉が耳に残って離れないのである。(文・写真/藤井勝彦)



山寺
 023・695・2816(山寺観光案内所)/300円/8時〜17時/無休/交通=仙山線山寺駅から徒歩5分/山形道山形北ICから県道19号線経由約15分

蔵王大露天風呂
 023・694・9417(蔵王温泉観光協会)/450円/6時〜日没(冬期<11月中旬〜4月中旬>閉鎖)/冬期以外は無休/交通=山形新幹線山形駅からバス45分、蔵王温泉バスターミナル下車徒歩15分/山形道山形蔵王ICから西蔵王高原ライン経由約20分

河北町紅花資料館
 0237・73・3500/400円/9時〜17時(11月〜2月は〜16時)/無休/交通=山形新幹線天童駅からタクシー20分/東北中央道東根ICから国道287号線経由約15分

旅行読売2004年11月号より

http://www.yomiuri.co.jp/tabi/gourmet/fudoki/fd041101.htm