2004年10月03日(日) 03時34分
「サービス残業」横行、厚労省が一斉調査へ(読売新聞)
従業員に対して残業代などの割増賃金を適正に支給しない「サービス残業」が横行しているとして、厚生労働省は11月を「キャンペーン月間」に指定し、サービス残業解消に向けた対策に乗り出す方針を決めた。
昨年度、労働基準監督署の是正指導を受けて100万円以上を支払った企業が、2001—2002年度の合計を上回る1184社に達するなど、深刻な不払いの実態が判明したためだ。全国一斉に企業への抜き打ち調査を実施するほか、フリーダイヤルを各地の労働局に開設するなどして、個々の従業員から情報を集める。
1184社の不払い総額は約238億7000万円。労基署による是正指導で不払いが解消された労働者は約19万5000人に上った。また、このうち1000万円以上の不払いを是正指導された企業は236社あり、総額は約210億3000万円に及んだ。
不払いの最高額は電力会社の約64億3000万円で、過去にさかのぼっても最も多かった。このケースでは、管理職からの残業指示と社員からの残業の報告がいずれも口頭で行われていたため、サービス残業に対するチェック機能が働かず、1万人以上の社員が、年平均146時間余りのサービス残業を1年8か月にわたって続けていたという。
業種別では、製造業が不払い労働者数、金額ともに最も多かった。
サービス残業は、長引く不況で多くの企業が合理化に取り組む中、人員削減のしわ寄せが従業員に及んで問題が顕在化した。2000年11月には、中央労働基準審議会でサービス残業の横行が初めて指摘され、厚労省は、翌2001年4月から是正指導に関する集計を開始した。
2001—2002年度の2年分を合わせた数字を見ると、是正指導で100万円以上を支払った企業は1016社、金額は約154億円、労働者数は約13万5000人となっており、昨年度はいずれもこの2年の合計を上回った。
(読売新聞) - 10月3日3時34分更新
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