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米国で迷惑(スパム)メールが高度化し、被害を広げている。企業からの電子メールを装って、クレジットカード情報や銀行口座情報を盗み出そうとする「フィッシング」詐欺と呼ばれる悪質なケースが増えている。米国では業界をあげて対策に乗り出しており、28日には米マイクロソフトとネット小売り大手アマゾン・ドット・コムが、迷惑メール業者を提訴したと発表した。日本国内でも同様の悪質メールが送りつけられるケースが出てきており、注意が必要だ。
迷惑メールは、コンピューター利用者に勝手に送りつけられる商用目的の電子メールを指す。社会問題化した迷惑メール問題で、昨年来米国で急増しているのが「フィッシング」と呼ばれるメールを使った詐欺行為だ。
アマゾンが提訴したフィッシング詐欺では、(1)アマゾンからの電子メールを装って、不特定多数のコンピューター利用者に迷惑メールを送りつける(2)迷惑メールには「あなたが、アマゾン上で売りに出していた商品を、第三者が購入しようとしたのですが、あなたの情報に問題があって、売買が成立しませんでした」との記載があり、特定のホームページに受信者を誘導(3)アマゾンのホームページを装った偽ページ上で、受信者の電子メールアドレスとアマゾンのパスワードを入力させる、というやり方で、受信者の情報を盗む仕組みだったという。
ほかにも、同様の「なりすまし」電子メールを送り、「あなたのアマゾンのアカウントに第三者が勝手に侵入した可能性があります。予防策をとって下さい」などと受信者をだまして危機感をあおり、偽のホームページに誘い、パスワード、クレジットカード情報、銀行口座情報などを盗み取ろうとするケースもあったという。
コンピューター安全対策大手の米シマンテックによると、01年に電子メール全体の8%だった迷惑メールは、04年には65%まで増加した。
特にフィッシング詐欺は、03年12月の116件から、04年7月には約17倍の1974件に急増した。米大手銀行シティバンクや、ネット競売大手イーベイなどからの電子メールでの通知を装って、個人情報を盗もうとするなど、ネット上で電子商取引をしている人を標的にしている。
米非営利団体「TRUSTe」などの推計では、フィッシング詐欺による米国内での過去1年の消費者の被害額は5億ドル(約550億円)に上るという。米調査会社ガートナーは、米国の銀行やカード会社の03年の損害額が12億ドル(約1300億円)に達すると推計する。
金融機関やハイテク会社などの関連業界は、反フィッシング・ワーキング・グループ(APWG)を03年11月に設立し、対策に乗り出した。APWGのピーター・カシディー事務総長は「もともとは米国、カナダ、イギリス、オーストラリアなどでの件数が多かったが、最近はドイツなどの西欧、ブラジルなどの南米からの報告件数が増えている。フィッシング詐欺は国際的に広がっている」と話す。APWGは、個人情報の提出を求める電子メールに注意する、疑問に思った場合は企業側に電話で確かめる、などの対策を呼びかけている。
(10/02 15:13)