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[ヤマト提訴]「許されない郵政公社の民業圧迫」
日本郵政公社による民業圧迫問題が、司法の場で争われることになった。
宅配便最大手のヤマト運輸は独占禁止法で禁じられた不公正な取引に当たるとして、郵政公社による郵便小包事業の拡大差し止めを求める訴訟を東京地裁に起こした。
公社が大手コンビニエンスストアのローソンと郵便小包を取り扱う契約を結んだことで、ヤマトはローソンとの契約解除に追い込まれた。ヤマトは、公社とローソンの契約の撤回を求めている。
公社は郵便小包の料金を全面改定し、ヤマトよりも安くした。ヤマトが得意とするゴルフバッグやスキー板の宅配サービスも始める。ヤマトは、この新料金は採算割れで独禁法違反の不当廉売に当たる、という主張も展開している。
こうした事業拡大が独禁法に抵触するのかどうかは、司法の判断を待つしかない。だが、一段の民業圧迫につながることは明白だろう。
ゴルフ宅配サービスに代表される宅配便は、民間業者が自らの営業努力で切り開いてきた。そこへ公社が新サービスを武器に「殴り込み」(訴状)をかけてきた。ヤマトが反発するのも当然だ。政府は、提訴に踏み切ったヤマトの危機感を重く受け止めるべきである。
公社は法人税の免除など様々な優遇措置を受け、競争上極めて有利だ。信書便事業の独占は維持されたままだ。
公社の生田正治総裁はローソンと契約を結んだ際、「ヤマトが横綱としたら、我々は十両にすぎない」と、民業圧迫批判に反論している。
小包分野だけを取り上げると、公社の市場占有率は6%と低い。だが、郵貯など金融分野で巨額の黒字を出し、信書便独占の公社が本格的な価格競争に乗り出せば、民間への脅威は“横綱級”だ。
公社は、民間経営者出身の生田総裁の下で経営改革を進めている。目指すべきは徹底した合理化であり、肥大化ではない。生田総裁は、その点を認識しなければならない。
小泉首相は内閣改造後の最大の政治課題に郵政民営化の実現を掲げている。民営化の成功には、首相自らが公社の肥大化に待ったをかけていく、そのくらいの強い姿勢を見せる必要がある。
政府は郵政民営化推進本部(本部長・小泉首相)を設置したが、本部の下に新会社の経営を監視する組織を民営化後に設ける方針も打ち出している。
それでは遅い。公社の段階から“焼け太り”を防ぐため、民営化の開始を待たず、早急に監視組織を発足させるべきではないか。