2004年09月29日(水) 05時05分
ヤマト運輸、郵政公社提訴 ローソンでゆうパック 委託撤回求める(産経新聞)
ヤマト運輸は二十八日、日本郵政公社を独占禁止法の「不公正取引の禁止」条項に基づき東京地方裁判所に提訴した。ヤマトは同社の宅配便だけを扱う契約を結んでいたコンビニエンスストアのローソンが、郵政公社と「ゆうパック」の取り扱い契約を結んだことに反発してローソンとの契約を解除しているが、提訴によりローソンを通じたゆうパックの取り扱いの差し止めを求めている。郵政公社の民営化前の事業拡大には金融界なども「民業を圧迫する」として懸念を示しており、ヤマトが訴訟に踏み切ったことで追随する動きが広がる可能性も出てきた。
訴状によるとヤマトは、「郵政公社は国有財産である郵便局の空きスペースを近隣相場の30−45%という低額でローソンに貸し出すことでゆうパックの取次所となるよう誘引している」とし、さらに「独占事業である信書の黒字などを活用して、民間宅配事業者の料金を下回る原価割れ料金でゆうパック料金を設定している」などと主張。ローソンとのゆうパック委託締結の撤回を求めた。
提訴の発端は、郵政公社が全国約七千八百のローソンで、十一月中旬から郵便小包「ゆうパック」の取り扱いを始めるとした八月十八日の取り決め。それまでローソンの宅配便サービスはヤマトが独占で行っていたが、郵政公社が「宅配便とゆうパックの両方を取り扱ってほしい」とローソンに要望し、受諾された。
ヤマト側はこれに反発してローソンとの契約を解除。八月二十六、二十七の両日、全国の新聞五十四紙に郵政公社を批判する意見広告を展開して、民業圧迫懸念を訴えるなど、対立が先鋭化していた。
提訴を受け同日会見した日本郵政公社の本保芳明理事は、「郵政公社は郵便法に基づき、公正な料金改定に努めてきており、独禁法に抵触するような行為は行っていない」と説明。「郵便局の施設を貸す場合は、近隣の賃料を参考にしており、ヤマト側の主張が理解できない。また、小包料金についても総務省の認可を得ている。批判は的外れだ」として全面的に争う姿勢を示した。
郵政公社は十月から、ゆうパックの料金改定を含む大幅なリニューアルを予定しているが、「提訴による影響はない」として予定変更はないとしている。
(産経新聞) - 9月29日5時5分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040929-00000000-san-soci