2004年09月24日(金) 00時08分
無業の若者よ社会へ…引きこもり支援のNPOがパン店(読売新聞)
働かず、学校にも行かない無業者(NEET)の若者が急増する中、引きこもりの若者らを支援するNPO法人が25日、社会参加に向けたトレーニングの場を提供するパン屋を、東京都三鷹市に開店する。
社会に踏み出せない若者たちが報酬を得ながら自立できるよう、橋渡しをしようという試みだ。
このNPO法人は、引きこもり経験のある会員の若者に「居場所づくり」などの支援をしてきた「文化学習協同ネットワーク」(同市下連雀)。1年前から準備してきたパン屋は、「コミュニティ・ベーカリー 風のすみか」と名付けられ、同ネットのスタッフと、17—24歳の会員数人を従業員として開店する。
同ネットはこれまでも、地元企業と交渉して就労を支援してきたが、受け入れ先は少なく、社会性を身につける前に本格的な職場に出ることで、適応できず辞める例もあった。このため、徐々に社会性を養い、職業訓練を積める場として、パン屋開店を決めた。
関係者の融資やカンパで約1200万円を集め、支援者から提供されたビルを店舗用に改装。オーブンなどの機材類は、廃業したパン業者から譲り受けた。さらに、スタッフらが専門家にパンの製造法を学び、試作品を買ってくれた100人のボランティアの意見も取り入れて、商品を開発した。
販売するのは天然酵母を使った無添加パン30種類。予約販売が中心だが、店頭での小売りや、宅配も予定している。当面は現会員の一部を従業員とし、報酬は売り上げにより検討する。将来的には、20人程度が働ける体制を目指す。
アルバイト先で人間関係につまずき、就職できないでいた女性(19)は「働くのがこわかったが、仲間と一緒にパンを焼くのは楽しく、できれば毎日頑張りたい」と意欲を見せる。同ネットの佐藤洋作代表は「自信や人とかかわる喜びを取り戻し、社会とつながるきっかけをつかんでくれれば」と話している。
問い合わせは同店(電=0422・49・0466)へ。
(読売新聞) - 9月24日0時8分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040923-00000514-yom-soci