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根来コミッショナーの新天下り先が入る東京・六番町のビル 9・17は、プロ野球ファンに長く記憶される日になるだろう。日本プロ野球組織(NPB)と選手会による協議交渉委員会は延長戦の末、9時間半に及ぶ交渉でも決着をみることができず、ついに週末2日間のストに突入した。
これを受けて17日夜、根来コミッショナーは都内で会見し、「準備が整い次第、(コミッショナーを)辞める。すぐにでも、というつもり」と胸中を明かし、9月中の辞任を表明した。
ところが同じ17日夕、根来コミッショナーは、なんと、新設されたばかりの「消費者機構日本」の設立総会に出席し、初代の会長に就任していた。
「消費者機構日本」は特定非営利活動法人の認証を目指し、日本生協連、日本消費者協会、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会などが立ち上げたもので、消費者被害の拡大を防ぐことを活動目的としている。
消費者機構日本では「根来氏は公正取引委員会の前委員長で、消費者問題について多くの提言をされていた。今年3月ごろから『(無報酬の)ボランティアで会長を受けていただきたい』とお願いしてきた。非常勤なので3カ月ごとの理事会への出席と、問題があれば対応などを相談することになると思う」と語っている。
基本的に無報酬のボランティアで、華麗なる転身と言いたいところだが、この「消費者機構日本」の会長職就任がすでに決まっていたからこそ、何の未練もなくコミッショナーを辞任する覚悟がついたのかもしれない。球界大揺れの当日に新団体の会長に収まるタイミングの悪さは、無神経といわれても仕方がないだろう。
一連の根来コミッショナー批判の発端となったのは、12球団に通達したとされる極秘文書の存在だ。「統合 1リーグ制等についての意見」と題されたこの極秘文書には、「選手は労働者の面を持つことを否定するものではないが、事業者の側面が強い」とし、「経営問題についてのストは『違法』」と断言されている。
根来コミッショナーは、法務事務次官、東京高検検事長、公正取引委員会委員長を歴任した“著名な法律家”。その権威が、ストの違法性を通達したことで、経営者サイドは意を強くした。
その結果、再三の話し合いを求めてきた選手会との溝はますます深くなり、結局、スト突入という最悪の事態を迎えたわけだ。言い換えれば、この“根来文書”が今回の混乱を招いた発端ともいえる。
ところが、その張本人が、事態の収拾がつかないうちに辞任を表明。次なる就職先も決めていたというのだから、球界関係者の間からも怒りの声が上がっている。
「本来なら球界最高権力のコミッショナーが事態の収拾に当たるべきでしょう。それをせずに辞めるというのは、まさに逃走。これまでも、『権限がない』の一点張りで、球界のためには何の仕事もしてこなかった。それで巨額な退職金が支払われるのだから、あきれて物が言えない」
自らの職を賭したのだから潔い、などという声はとんでもない見当違いという見方もできる。
戦国時代の根来衆の末孫というだけあって、“遁走”や“変わり身の術”は、まさにお手のものといったところだったのかもしれないが、なんとも後味の悪い去り方ではある。
ZAKZAK 2004/09/21