2004年09月21日(火) 15時04分
<プリペイド携帯>おれおれ詐欺9割で悪用(毎日新聞)
おれおれ詐欺事件で使われた携帯電話の9割、架空請求詐欺事件で使われた携帯の3分の2がプリペイドカード式携帯だったことが、警察庁の緊急調査で分かった。ほとんどがずさんな方法で販売されており、契約者名が登録されていないものも多かった。両事件の被害総額は、昨年1月から今年7月までに143億円に上る。警察庁は新たに策定した指針に基づき、より厳しいルール作りを促すことで、プリペイド携帯を使った犯罪の一掃を図りたい考えだ。【窪田弘由記】
今月に行われた緊急調査では、犯罪に使われたプリペイド携帯の実態を調べた。今年上半期(1〜6月)に認知したおれおれ詐欺事件のうち、捜査で所有形態が明らかになった携帯電話は827台で、うち766台がプリペイド携帯だった。架空請求詐欺事件でも1023台のうち672台がプリペイド携帯だった。おれおれ詐欺事件は昨年1年間の被害額が約43億円、今年(1〜7月)は77億円に達している。架空請求詐欺事件の被害も今年だけで23億円に上る。
調査によると、他の事件でも、この半年で▽殺人が絡む捜査本部事件6件▽身代金目的誘拐1件▽企業恐喝3件▽組織的な強盗16件——などの凶悪事件や、組織窃盗28件、薬物事件21件で、プリペイド携帯が使われていた。
これらのほとんどが携帯電話事業者に契約者名が登録されていなかったり、架空名義で多数が登録されるなど、犯罪での使用を目的に用意された疑いが強いという。実際の使用者が分からず、捜査も犯人にたどり着けない状況に陥りやすい。
国内の携帯電話事業者5社(当時)は00年5月、▽原則として本人確認後に新規加入を承諾▽本人確認を拒んだり、確認が取れない場合は加入を承諾しない——などの悪用防止の自主対策を策定した。しかし、販売店の店員への徹底不足などで、未登録販売が後を絶たないという。
KDDIなどは今年8月、顧客情報の登録がなければ電話を開通させないシステムの導入を始めたが、同庁はすべての事業者がより強い対策を取る必要があると指摘。今回の指針策定について、「第三者に譲渡されていないかどうかのチェック方法など運用面の課題はあり、不適正なプリペイド携帯の取引をゼロにすることは現実的には難しい面もある。しかし、不審な使われ方を野放しにしておく現状は適切でなく、できるだけ犯罪に使われにくい仕組みを取り入れたい」と話している。
(毎日新聞) - 9月21日15時4分更新
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