2004年09月20日(月) 09時23分
海外養子あっせんでトラブル続発、人身売買の恐れ(読売新聞)
日本で生まれた子どもを外国の家庭に養子として紹介する民間の海外養子縁組あっせんで、高額な寄付を強要するなど金銭トラブルが相次いでおり、厚生労働省は「人身売買につながる恐れがある」として、近くあっせん事業者の実態調査に乗り出す。
あっせんに明確な法規制はなく、監視体制が不十分だとして国際的な批判も受けていることから、同省は事業者を指導する都道府県に対しても適正なあっせんを促すよう文書で通知する方針だ。
厚労省の内部資料によると、2000—2003年度の4年間で計106人の養子が海外にあっせんされている。養子縁組あっせんは全国で計8事業者が届け出ており、外国に住む養親へのあっせんは半数の4事業者が携わっている。
養子となる子どもは、ほとんどが生後間もない赤ちゃんとみられる。10代の妊娠や性的暴行による妊娠など、いわゆる「望まない妊娠」によるものが多い。あっせん事業者の大半は産婦人科と連携したり、独自の電話相談窓口を設置。こうした妊娠の相談があれば、あらかじめ用意してある希望者リストをもとに縁組先を探す。
あっせんを巡って金銭トラブルも多発。ある事業者は「あっせん費用は無料」とうたっているにもかかわらず、養子を希望する海外の夫婦に550万円の寄付金を要求。夫婦が支払いを断ると、「子どもは用意できない」と告げていた。また、あっせん料が高いと事業者に指摘したところ、「障害児だったら安くする」と子どもを商品扱いするような言葉を浴びせ、露骨な料金交渉をもちかけられた夫婦もいた。
社会福祉法は、あっせん事業者に都道府県・政令市への届け出を義務づけているが、罰則がなく、無届けでも活動できるのが実情。児童福祉法も、交通費や通信費などの実費以外を徴収するような営利目的のあっせんを禁じているが、「営利」の定義があいまいで、歯止めになっていない。
(読売新聞) - 9月20日9時23分更新
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