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「子どもがチラシを拾ってきて、どう説明したらいいものか困り果てましたよ」
岐阜市内のアパートに住む男性は、そうため息をついた。裸や下着姿の女性の写真に、売春行為をほのめかす過激な文言が躍るチラシ。マンションやアパートの郵便ポストに入れるだけでなく、周辺の路上などにもばらまくことで、大量のチラシをさばいていた。昨年二−三月ごろから、飛騨地方を除く県内全域に出回っていたことが確認されている。捜査本部が押収したチラシは、約二百五十万枚に上る。
同クラブは、岐阜、愛知、三重、滋賀、大阪、兵庫、広島、神奈川の一府七県にわたって営業。特に、東海三県で大きな利益を上げていたとみられる。チラシを見た客が、掲載された携帯電話番号にかけると、大阪や兵庫の“拠点”が対応。各地区の“班長”を通して、運転手らスタッフに指示が与えられ、車で女性を客の自宅やホテルに派遣していた。
チラシに掲載されていた電話番号は、すべて他人名義のプリペイド式携帯電話のもの。“拠点”も約三カ月ごとに移転しており、摘発を逃れようとする狡猾(こうかつ)さが透けて見える。「“拠点”のメンバーは、各地区の“班長”以下スタッフと接触することがない。末端のスタッフを捕まえても、なかなか“拠点”までたどり着かなかった」。岐阜中署のある幹部は、摘発までの困難な道のりを振り返る。
今回の摘発で適用されたのは売春防止法(誘引・周旋)。だが、同法では懲役と五万円以下の罰金(周旋)を科せられるのみ。捜査本部は、不法な収益を没収するため、組織犯罪処罰法での立件も視野に入れている。
だが、それには犯罪で得た収益が組織ぐるみで隠匿されていた事実を示す必要がある。現在のところ、犯罪収益がプールされていた口座などは見つかっておらず、同本部は“拠点”に吸い上げられた売上金の行方の解明に全力を挙げている。
「客は対価を支払ってサービスを受け、それに納得しているのだから、誰も損はしていない。“被害者”のいない犯罪だからこそ、警察がしっかり取り締まらなければ」
前出の岐阜中署幹部は、そう力を込める。“被害者”がいるとすれば、無差別にピンクチラシをばらまかれ、風紀を乱された住民だろう。「摘発以降、防犯団体の集まりなどで『町がきれいになった』という声を聞くようになった。捜査員にとっては、それが励み」。
五百人を超える女性を擁し、延べ約二万六千人に売春を周旋していた、全国でも有数とみられる巨大売春クラブ。二十一日には、起訴された中心メンバーら四人の公判が岐阜地裁で始まる。
http://www.chunichi.co.jp/00/gif/20040919/lcl_____gif_____000.shtml