2004年09月18日(土) 16時02分
宝石販売会社出資法違反 出資金の8割を配当に 商品渡さず、事業の実体なし(産経新聞)
宝石販売会社「グランドキャピタル」(破産、東京都)の出資法違反事件で、逮捕された同社元会長、矢吹寿雄容疑者(四二)が、同社だけで会員から集めた出資金約三十億円のうち約八割をそのまま会員への配当金に回していたことが十七日、大阪・大分両府県警合同捜査本部の調べで分かった。
残りの約二割が使途不明金で、販売した商品は会員に手渡されないことが多かった。捜査本部は、商品販売は資金集めの名目にすぎず、事業の実体はなかったと判断、グループ全体では約十八億円に上る使途不明金が矢吹容疑者に流れたとみて詳しく調べている。
調べなどによると、同社への会員からの出資金の振込額は「元本保証・高配当」をうたった違法商法を始める二カ月前の平成十三年四月から破産する直前の翌年九月までの間、二千百十七件総額約三十一億六千万円に上った。これに対し、会員への支払額は九千二百九十四件約二十六億一千万円で、支払額は振込額の82・6%に達した。
元従業員は取材に対し「先に入会した会員の配当は、後から入った会員の出資金から捻出(ねんしゅつ)した」と証言。事業の実体のない自転車操業だったことを認めている。
一方、同社の「利殖商法」は、宝飾品や寝具など高額な商品を購入すれば、購入金額をはるかに上回る配当金を支払うとうたっていたが、利殖商法を始めて一年後の十四年夏以降は商品の引き渡しはなくなり、配当金の支払いも止まっている。
実際には商品の納入をしていなかったとみられ、矢吹容疑者らの逮捕容疑となった「ペルーインカ帝国3000年記念金貨コイン」でも、同社では金貨の鋳造は一切していなかった。
同社は十四年十月の破産宣告までの間、グループ全体で全国三千人から約百億円を集めたが、このうち十八億円が使途不明金となっている。捜査本部は、矢吹容疑者個人の遊興費などに使われた可能性があるとみて、銀行口座などから資金の流れの解明を進める。
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捜査本部は十八日午後、出資法違反(預かり金の禁止)容疑で矢吹容疑者を送検する。
(産経新聞) - 9月18日16時2分更新
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